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「…何がどうしてこうなった?集団リンチ?バレないようにしろよ。」 「ん?おぉ、椿崎…良いところに来たぜよ。」 「何?」 「赤也をここから引きずり出す事手伝ってくれんかの?」 「は?赤也君を?て言うかなんで赤也君がこの個室の中に入ってんの?」 「それは俺から説明しようかな?実はこれから講堂でテニス部が企画する劇のシンデレラをするんだけど…今更ドレスなんて着れるかって言って、引きこもっちゃった。まったく困った坊やだ。」 「な!?じやぁ、赤也君は今ドレス着てんの!?」 「おぉ、そうじゃ。フリフリのピンクのドレスに身に包んだ赤也がこの中に籠城しとる。赤也ー。ホォレ、たこ焼きに焼き鳥じゃ。美味いぜよー。」 「何それ超見たい!現前として眼前に厳然たるシンデレラさん燦然と参上してください!その勇姿を私の網膜に焼き付けてぇえ!あ、あとたこ焼きマジ美味しいから、マジオススメ。」 「いやっす!撫子さんに言われても嫌なものは嫌っす!」 「折角デジカメをフル充電したのに!私の人差し指が再び唸りたいって言ってるのに!」 「切原君がトイレに籠城していると聞いて!」 「赤也ぁああ!!たるんどる!鉄拳くらわすぞ!」 柳生と真田が遅れながら執事服を身に纏ったままやってきた。 「副部長が言っても今回だけは絶対嫌っす!」 「そうだ!執事がドレス着用済みのお姫様を殴るだなんてどういうつもり!?」 「む!?」 「椿崎さんはどっちの味方かな?」 「萌えの味方です!」 「そう…だったら……。」 幸村はチョイチョイと指を動かし撫子を自分の近くにまで呼びつけた。 「なにかね?」 そして耳元でコソコソ話。 「実はね?真田が王子役なんだ。それで最後は真田と赤也のキスシーンがあるんだけど…見たくない?」 「なにそれ超見たい!」 まさかの真田君×赤也君!?盲点だった!赤也君はマスターと絡ますことに集中しすぎて他の可能性を考えてなかった!これは良いぞ!堅物×やんちゃっ子!!やんちゃし過ぎたら堅物がヤンに変化する可能性がある!この場合DVだ。DVデレだ。無限の可能性を感じるよ! 「ゥオラ!!出て来てや!赤也君!ドア蹴破んぞ!」 色々見たさに撫子の暴走。ドアを蹴り出すといった暴挙に出た。 「……男の俺らより男らしいってどうよ、ジャッカル…。」 「…あぁそうだな、でも俺に話を振らないでくれ。」 「ヒィ!?撫子さんやめて下さいっす!」 「退かぬ!媚びぬ!省みぬ!」 問答無用といった感じだ。 「ヒエー…椿崎さん怖ぇ…どうなんだ?越前ー。」 「撫子さんッ格好いい…!」 桃城は以前のトラウマを思い出し、リョーマはウットリとした表情を浮かべていた。 「えー…。」 それにどん引く桃城だった。 「……ねぇ、アンタそれって逃げなんじゃない?主役やりきる自信がないんだ。俺だったら主役に抜擢された以上、やりきるけどね。」 リョーマが赤也を挑発し始めた。いきなり何言ってんだ!?と思った桃城がリョーマの顔をのぞき込むとその顔には「赤也をそこから出さして撫子に対する得点アップ」と書かれているようだった。桃城は静かに納得し生温かい目で後輩を見つめた。 周りの人の反応はそんな馬鹿しか引っかからないような作戦に流石に赤也も引っかからないだろうと思ったようだ。 「オウオウオウ!やってやんよ!出てやんよ!あっかあかやにしてやんよ!」 「キャーッ!!可愛いぃいい!素敵!あぁんもう、最高!私の人差し指が唸るぜぇえ!」 撫子はデジカメをすかさず構え激写。それから簡単に引っかかってしまった赤也に対して少々頭を抱えたレギュラー陣であった。 |
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