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「おお、いてら!マスターの勇姿は前から横からフルコンプするぜ!」 「ハハ、それは頼もしいな。行くぞ?弦一郎。」 「うむ。」 柳と真田がステージへと登った。歓声がたちまち上がる。真田、柳の人気が垣間見えた気がした。 「…しかし真田君が王子か……精市君の方がはまり役だった気がしなくもないのだが…。真田君って王子と言うより王様っつーか、重臣っつーか…。」 「それは真田が老け顔だって言いたいのかな?」 そんなはっきり言わなくてもいい気がする。折角撫子が遠回しに表現していたというのに。 「…禁則事項って事にしておいて下さい。」 「まぁ、確かにそうだよね。王子と言ったら俺だけど、俺は脚本担当だったしね。それに王子顔の俺がやっても喜劇にならないでしょ?」 「あぁ、なーる…ギャップ萌えですね分かります。」 「さて、そろそろクライマックスだね。」 「ウホッ!真田君と赤也君のキスシーンがついにお目見え!?」 「先輩、先輩、先輩ー!きッ緊急事態っす!ドレスが、ドレスが破けちゃったっすー!」 大きなミスも無く、クライマックスを迎えることが出来た。と思っていたのに、人生はそう甘くなかった。 「えー………赤也君、取り合えず修理してみるからドレス脱いでくれる?」 「…はいっす…。」 撫子は日頃から鍛えているコス服の修復技術を生かして、赤也が破いてしまったドレスを縫っていく。 「じゃあ、俺はアナウンス流してくるよ。撫子さん…早くね?」 「イエッサー!」 幸村は撫子にはっぱをかけてから緊急対応をすることに。 「…なんじゃ?赤也…そんな短時間でブンちゃんみたいになったんか?」 「違うっすよ!大道具に引っかけちゃったんすよ!誰がそんな短時間で太りますか!」 「おい、お前らナチュラルに俺のこと太いとか言ってんな!」 「違うぜよー。俺は丸井みたいになったんか?とは言ったが、太ったんか?とは言っとらん。言ったんは赤也だけじゃ。」 「なッ!?仁王先輩ひっでぇ!先輩もそう言う意味で言ったくせに!」 「さぁ、それはどうかのぉ…プリ。」 「お前ら俺に対して失礼なんだよ!」 「お前らさっきから萌えるコントしてんじゃねーよ!萌えすぎて手元狂うじゃねーか!やるならステージ立ってやれや!場ァ繋がねーと精市君キレるよ!?」 思わずプリガムレッドのコントに口を出してしまった撫子。仕方ないじゃないか、作業は早くしないといけないけど萌えが目の前で乱舞っているのだもの。葛藤しすぎてストレス溜まるよ。 「…つっても、何すりゃええんじゃ?」 「ぁあ!?んなもん自分で考えてくれよ!ただ舞台袖を物色してたら二着の白衣があったよ。それを着てステージ突っ立とけ!それだけで視聴率とれるわ!」 「視聴率って…なんか違うだろぃ。」 「ニュアンスは合ってるからいいんだ!どうせ子役と動物が出てたら視聴率はいいんだ!そして私はペテンさんの白衣コスと柳生君の白衣コスを所望する!」 「え、私ですか!?」 「ホレ、柳生さんご指名じゃ。さっさと行くぜよ。」 仁王は撫子の勢いにおされ既に白衣は着用済みだ。もう一着を柳生に渡す。 「…立っておくだけでいいんですよね?」 始めは戸惑っていたが、腹を括ります紳士柳生。いざ共にステージに立たん。 「……えー…ショートコント、医者。」 「な!?仁王君、聞いてませんよそんな事!」 |
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