青春Destroy | ナノ


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「あ、橘さん。俺達そろそろ帰りますね。」

気が付けば午後八時を過ぎていた。中学生の門限を考えればギリギリなリミットな気がする。

「おー、もうそんな時間か。気を付けて帰れよ。…送っていこうか?」

「いえ、平気です。深司も居ますし。」

「えー…何かあったら俺がアキラを守んなきゃいけない訳?俺だって逃げたいよ。何で俺が若干頼りにされないといけない訳?あー、やんなっちゃうよなぁ。」

「伊武君の呟きはヤバいな、今度呟いてみたって動画うpしようか。ノンブレスでそこまでって凄いよ。」

「はぁ?」

物凄く怪訝な顔して撫子を睨んだ。

「ちょ、深司帰るぞ!橘さんお邪魔しました。千歳さんも橘さんの昔の話ありがとうございました。椿崎さんも……なんかありがとうございました。杏ちゃん、また明日。」

「…お邪魔しました。」

神尾が礼儀良く別れの言葉を口にして、伊武が一言行って帰って行った。

「私には何もコメント無しかよ。」

「まーまー。…ところで撫子さんは帰らなくて大丈夫なのか?親御さんとか。」

「ん?あぁ、私一人暮らしだから大丈夫。門限とかないし。」

「え!?」

「あれ、言ってなかったっけ?私はただ今氷帝学園の謎のプロジェクトに参加中で岡山から上京している田舎モンなんだぜ!謎のプロジェクトについて詳しくはWebで!私もよく分かんないから!」

「いいのか?それで…。」

「いいのいいの。じゃ私もそろそろおいとましますわ。明日学校だし。楽しい時間をありがとう!最近食卓は一人だったもので、賑やかに料理囲むこと楽しかったよ。」

「それは良かった。撫子さんの都合が良かったらまた来てくれ。その時は撫子さんの好きなキャラで料理を作ることにするよ。」

「マジで!?あざーっす!」

撫子の為に料理を作るだなんて…千歳二号を作るようなものだぞ。

「そうだ、千歳。撫子を送ってやってくれ。」

「えー…。」

「散々俺の料理食っただろ、少しは働け。」

「え?別に要らないよ。私、八時位なら普通に外で歩いたことあるし。これでも総合的なパワーあるから大丈夫だよ。変質者ぐらい退治できるって。むしろ私にあてがわれる千歳君の時間を橘君とのイチャイチャタイムに…。」

「撫子さん?」

元ヤンオーラがなんとなーくした。気が付きたくなかったがチクチクして気が付いたようだ。

「ンゴイ、ンゴイ。めっちゃンゴイ!千歳君、さっさと行こうか!」

「…じゃー、桔平ちょっと行ってくるばい。」

「杏ちゃん、橘君、お邪魔しましたー!」

「撫子様!また何時でもいらして下さいね!」

名残惜しいがお別れだ。撫子と杏は互いに姿が見えなくなるまで手を振り続けていた。

「…転けると。」

千歳と歩き始めて、雑談しまくって(主にジブリについて)。時には口論をして(主にジブリについて)。和解して互いの意見を受け入れて(主にジブリについて)。とても有意義な時間だった気がする。その時間も終わりに近付き、撫子が下宿しているマンションの近く。

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