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「…あの、撫子様…いいんですか?」 桜乃は撫子がした行動に罪悪感でも感じたのか、おずおずと聞いてきた。 「こいつぁうっかり…うっかり。桜乃ちゃんは優しいねぃ、でも忍足はドMですから、大丈夫。」 「はぁぁ、撫子様の薬売り…格好いい…。」 やりとりを見ていた朋香が呟いた。 「嬉しい事を言ってくれるじゃねぇか、お嬢ちゃん。」 目を少しだけ細めて流し目。 「「ッキャーッ!」」 朋香に向かってしたのだが隣に座っていたANにも流れ弾が飛んでいったようだ。 「流石撫子さんだね、役になりきってる。」 佐伯一味がここにやっと到着。 「あぁ、佐伯君。折角来てくれたのに葵君…だっけ?何処かに行っちゃった。」 「いいよ、撫子さんが困っていないなら。そうだ、折角だから俺の友達も紹介させてよ。前回会ったときに全然話すことが出来なかったからさ。」 「うん、いいよ!……ん?私って佐伯君を初めとする愉快な仲間達との絡みは初めてな気がするんだけど…?」 返事をしたのは良いものの、前回とは何だろうと疑問を感じた撫子。なので聞いてみた。 「酷いなぁ、撫子さんは。一緒の空間に居たって言うのにね。」 「そんな事言っちゃダメだよ周助。撫子さんはあの時、比嘉中の方に行っちゃったからね。」 「…比嘉?」 比嘉と言ったらチョココロネもとい、木手が在学する学校であり、その学校と絡んだことのある機会は焼肉店でしかない。そして、撫子は思い出す。佐伯の後ろにいた身長の高い黒髪の少年の事を。 「あー!蔵さんと一緒に甲羅を飲んで上半身裸になってふつくしい腹筋を拝ませて下さった人が居た千葉県代表六角中学テニス部の皆さん!!」 思い出した思い出した。 「「「「バネさんから思い出すのかよ。」」」」 総ツッコミいただきました。 「お、おい…みんな聞いたか?ダビデがツッコミに回ったぞ!」 それがそんなにスゴいことなのか?と疑問に思った撫子だったが、空気を読んで何も言わないことにした。 「スゴいのねー、初めて聞いたのねー!」 シュポーと鼻を荒く鳴らす少年。 「なんだ、ダビデってツッコミも出来たんだ。」 「……。」 佐伯がダビデと呼ばれる少年に笑いかけると少年はぷいとと横を向いてしまった。ツッコミを入れたことは一生の不覚だったらしい。 たまらなく萌え。 「あぁ、そうだ撫子さんに紹介しなきゃね。右から黒羽春風、バネさんね。天根ヒカルでダビデ、樹希彦でいっちゃん、それから木更津亮。で、さっきの忍足君を追いかけていったのがうちの部長で葵剣太郎。」 「おぉ…ご丁寧にどうも……えーっと私は氷帝学園の椿崎撫子です。……こんな格好をしてるのは…その、ね…趣味です……。」 「クスクス、知ってるよ。コミュニティで殿堂入りしてる撫子さんでしょ。」 帽子を深く被っている亮が笑いながら言った。 「な!?えっと…木更津君なんでカイブの存在を!?」 「知ってるよ、僕も活動してるからね。」 「なん…だと!?」 「僕は双子でコスをしてるんだ。ツインズAだよ。クスクスッ。」 「ツインズ様!?え、え!?マジで!?」 「ホントだよ。弟がツインズBだよ。」 『ツインズA』『ツインズB』とは木更津兄弟がコス活動時に使用しているコスネームである。一卵性双生児という事を最大限に利用し、双子キャラを網羅している。ピンで写っていることなく必ず二人一組で仲良過ぎ。 「わー!双子って言う希少種が目の前に!桜乃ちゃん朋ちゃんANちゃん目ん玉かっぽじってよく見とこうね!」 「「「はい!」」」 「クスクスクス、パンダじゃないんだから。あ、撫子さん良かったら今度あわせしませんか?教会っぽい学校に弟が通っていて撮影の許可が出たから。」 「本当ですか!?わー!凄い!A様とB様とあわせが出来るなんて!何のキャラをするんですか!?」 「悪ノシリーズのリンとレンだよ。」 「ッキャーッ!!最高です!」 そんな作品を再現できるなんて一卵性だからこそ出来る技! 「良かったですね!」 ロリーズ三人が祝福してくれた。 「良かったよー!朋ちゃんありがとね、こんな機会を設けてくれて!」 「いいえ!私達の方こそ目の保養の幸せな時間でした!」 「朋ちゃんの優しさに全俺が泣いた!」 |
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