223 |
そしてロケ当日。場所は千葉県にある浜辺。撫子はコス衣装などの荷物を忍足に持たせ優雅に登場。撫子が行くと既に三人は居た。 「「「撫子様!」」」 「TOMOちゃんにSAKURAちゃん、久し振り!っと初めましてANちゃん、撫子です。」 「初めまして、ANです。今日は私の同行を許可してくれてありがとうございます。」 なんて礼儀正しい子だ。撫子とANのファーストコンタクトは平和的に終わった。忍足は空気なう。 「撫子様!これからここの海岸の使用を許可してくれた人に挨拶に行こうと思うんですけど、一緒に行きますか?」 「おう、行く。」 みんなは浜辺を歩き、近くにあった小屋まで歩いていった。その間、九月だというのに海に入って潮干狩りをしている少年たちが居た。健全すぎて眩しい。 そして辿り着いた…まさに海の家。TOMOは臆することなく小屋のドアを開ける。そこには二人の人影があった。銀髪の男子がこちらを向いていて茶髪の男子が背中をこちらに向け俯いている。 「おはようございまーす。浜辺ロケの許可を出してくださってありがとうございまーす!」 TOMOが明るく声をかけると銀髪の男子がこちらに気付き、返事を返す。 「いらっしゃい。TOMOさんだね。俺は佐伯虎次郎、この辺りは自由に使ってもいいから。着替えもこの中でしてくれていいよ。俺達は出て行くから。」 そう言って佐伯は小屋の外へと歩いて行った。片手にはバケツとスコップ。きっと先ほど潮干狩りをしていた少年達の輪に入っていくのだろう。 「はい!」 「あれ?君は…竜崎先生のお孫さんとよくいる…ってあれ?」 「…え!?不二先輩が何でここに!?」 「は!?周助君がなんで居んの!?」 撫子もドアから頭をにょきっと覗かせてみたら不二の姿を確認した。茶髪の男子とは不二だったようだ。 「僕は…今日撫子さんがここに来る気配がしたから、…ついでにサエに会いに来たんだ。」 「周助君、マジ怖ぇ…私はTOMOちゃんにロケに誘われてSAKURAちゃんとあわせをしに…。」 「え!?不二先輩、撫子様と知り合いだったんですか!?」 「逆にTOMOちゃんは周助君を先輩って…?」 話がややこしくなってきた。取りあえず各々今の状況を整理していく。TOMOが青春学園中等部1年に在籍の小坂田朋香であると言うこと。SAKURAが同じく青春学園中等部1年に在籍の竜崎桜乃であると言うこと。 「TOMOちゃんとSAKURAちゃんは青学の一年生…ね……。」 「撫子様が…中学生……しかも氷帝なんだ…。」 別にショックなわけでもないが、何となく呟くしかできない。世間って狭いね。 何やかんやと誤解?も解けて、時間が勿体ないと言うことで早速用意した衣装に着替える。着替えて顔面耕して、完成だ。 「へー、薬売りなんだ。」 「そうそう、手フェチにお勧めするアニメだぜって言うかもう存在が最高。かけ算とかそんなの関係無くはまっちゃうよ。」 「で、結局?」 「う、ぐッ……………ハイパー×薬売りです…。」 「フフッ業には逆らえないよね。」 「…ですね。」 かけ算をしてしまうのが腐女子の業仕方ないんだ。 「なぁ、撫子ー、刺青みたいなん描いてや。」 忍足も着替え終わったようで後は撫子に模様を描いてもらうだけ。しかし、お前本当に中学生か。なんでそんなに逞しいんだ。しかも褐色って…なんていう俺ホイホイ。はだけてる着物最高。伊達眼鏡してない切れ長の目最高。 「ッ…これは忍足なのに!なんでこんなにドキがムネムネあ、間違えた。胸がドキドキしてんだろぉお!あー!最っ高!フゥ!」 デカい独り言を放ちながら撫子は模様を描く。 「完成!資料も何も見ずに模様を描けて全俺が引いた!」 「どぅどぅ…で、そっちのお嬢さん方、どや?俺、初めてコスしたんやけど…似合うとるか?」 忍足が桜乃達に言葉をかけた。何が狙いだ。ロリコンか、そうかロリロリか。 |
<< TOP >> |