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夏休みが終わって九月。九月と言えば、何がある?十月になれば他校の文化祭。11月になれば氷帝の文化祭があるわけなのだが、九月と言えばそれの準備期間中。何にもないのである。刺激がない。萌がない。と言う訳で撫子は萌え不足で意気消沈となっている。只でさえ夏休みが終わってパソコンでネットサーフィンをする時間が減ってしまっているため、ダブルパンチである。さーらーに、二学期に入って受験、受験と少し口うるさくなった先生もいる。まぁ、一番撫子が嘆いてることは部活を引退して腹チラを拝む機会が少なくなった事だ。何だかんだでマネ業もエンジョイしていたのである。 楽しくなくて、五月病ならぬ九月病。ちなみに九月は学校の遅刻が一番多い時期でもあるらしい。 「あー…萌えがほすぃ……。」 机に突っ伏したまま呻いた。 「またか…。」 隣で小説を読んでいた忍足が反応した。 「だって…枯渇SOS……。」 「それは俺もや、やけど撫子は今日だけでなんか言いよった?」 「…50回?」 「ちゃう、108回や。しつこい。」 「あら煩悩の数。ひっくり返したら801、フゥ!て言うか律儀に数えてる忍足キメェ。」 「黙らんか…まぁ、今まったり過ごせるときに過ごしとき、今月末から文化祭や何やら準備で忙しくなるでぇ。」 「あー……うん。ん?ケータイが…メルマガか?」 撫子のケータイが光った。どうやらTOMOからのメールだそうだ。 『撫子様!覚えていらっしゃいますか?TOMOです。今回はコスプレのあわせの件でメールさせていただきました!あれからSAKURAと友達のANとでコスの話をしていてテンションがあがっちゃって!あ、この話は置いといて…撮影会しませんか?場所はなんと海岸です!海ロケです!浜辺です!ヅイッターで呟いたらおkの返事を貰ったんですぅ!日時は来週の土曜日で朝からを予定しようかなって思ってます。で、ジャンルは……ですね。その…モノノ怪の薬売りをしていただけませんか?私、撫子様のサイトで見た薬売りさんに一目惚れしちゃって……撫子様さえよければ…SAKURAは加代をすると言ってますし…私はカメコを、と考えてます。あと友達でANって子が見学したいと言ってます。どうですか?嫌でしたら断ってもかまいません。お返事待ってます。』 「マンマミーヤ!」 読み終えた撫子。刺激の無かった日からの脱出。テンションがあがる。 「どしたんや?」 「ねぇ!聞いて!萌えがあちらからやってきた!」 忍足にメールを見せつけるが如く突き出した。勢いよく突き出したため画面は忍足の顔からほぼゼロ距離であった。当たらなかっただけセーフである。 「見えへん見えへん……えーっと…。」 忍足もTOMOから来たメールを読む。 「文面からすると年下やな。それが三人……撫子、俺も見学しに行くわ。」 「ハァ?私のハーレムを邪魔する気?」 「……邪魔せーへんからさぁ、俺も行くー、ぶっちゃけ俺も萌え不足なんやぁ。」 「ロリロリだぞ?お前、自重できるか?」 「グ…ゥっ、ど、努力する、わぁー………。」 「断腸の思いで諦めたみたいな顔すんなよ普通にねーよちょっと考えたら分かんだろ馬鹿じゃねーのおめー。」 「あ、それと撫子の薬売りの姿も見たいんやぁ。」 「私のは付け足しか。………ん?…ねぇ、忍足っていかり肩だよね?ついでに立って。」 撫子が唐突に聞いてきた。さらには立ち上がれと命令までしてきた。 「せやけど…何?」 とりあえず大人しく立つ忍足。撫子も椅子から立ち上がり忍足の背丈を、その他をなめ回すように見つめる。 「んー……。」 唸りながら忍足の回りをジロジロと睨みつけながら一周した。時折背中合わせになったり、手と手を合わせてみたり、奇っ怪な動きだ。 「え、ホンマなんなん?」 「………よし、条件を飲むんだったら連れて行ってやろう。」 「条件?」 「そう、内容はその日のお楽しみだよ。で、どうする?」 「まぁ…ええけど……その条件飲むわ。」 「さっすが忍足、清いね。」 その後、こちらも友人が見学したがっていることを伝え、綿密に計画を立てていった。 |
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