019 |
撫子が次の日起きたら時計が8時20分を示していた。氷帝の授業開始が9時ジャスト、遅刻ラインが8時40分。家から学校までが歩いて25分。 これは遅刻フラグがタチマスタ。 急いで学校へ登校。現在8時35分。韋駄天走りを披露したおかげか遅刻にはならなかったようだ。クラスに行くと忍足が鬼気迫るような形相で撫子に駆け寄る。 「…ハァハァ…おはよ…忍足。」 「撫子ってあの撫子さんやったんか!?」 「あ?…どの撫子?」 撫子はほぼ寝起きと言うこともあり頭があまり働いていない。 「しらばっくれんといて!なんでもっと早よぉ言ってくれへんかったん!俺めっちゃファンなんやで!」 忍足の大きい声は頭にガンガンと響いてくる。息を荒げ言ってくる。息継ぎがなんかエロい。ある意味で拷問だ。 「………とりあえず…だまれ。質問は明確にはっきりと簡潔に言えーやボケ。」 「はい…撫子さんは笑顔動画であらゆるジャンルに手を出してすべてが殿堂入りという快挙を示したあの撫子さんなんですか?」 なにも標準語にならなくても良いのだぞ忍足。 「…そうだけど?え?知らなかった?本名でしてるからバレてるのかと思ってたのに。」 「分かるわけないやん!まさか本名で活動しとるとは思わんかったわ!」 「なんかごめん。」 「うわ目の前に撫子さんが居る。あ、握手してくれへん?」 「忍足がいつにも増してキモイ……。」 と言いながらもファンと聞いて喜ばない撫子ではない。悪態をつきながらも握手をする。 「おおきに!幸せやぁ……。」 忍足が幸せに浸っている間に学校の授業が始まる。忍足は授業中ずっとポワポワしていた。 撫子は忍足と同じで授業どころではなかった。「ペテン」とのあわせについて考えていた。 どーしよ、折角だからあわせしたい!でも練習試合が…でも丸一日じゃないよね?あ、この学校ですればよくね!?音楽室とか雰囲気出そうだし!なんか撮影会っぽい。だったら監督に使用許可を取ってー。きっとペテンさんも背景にはこだわりたいはず! 授業も終わり忍足に質問する。 「ねぇ、練習試合って何時までやるの?」 「さーなぁ?聞いてへんわ。跡部にでもきかんと。」 「チッ使えねぇ。」 「……何やろなー、昨日まで撫子に罵られたらめっちゃ腹立っとったけど撫子さんに言われてると思ったら…もっと罵って良いでぇ?」 撫子が宣言した通りドMに染められている忍足侑士。 「……ゴメン…あれ冗談だったのに……。」 撫子もひくほどの変わりよう。だがしかし、ここで妄想をしてしまうのも腐女子の性。 私に変えられた…じゃなくて……跡部…に変えられた忍足で…きっかけは―――――…。よぉし、またネタが出来た。サイト更新が忙しくなりますなぁ! 一日も終わり放課後、学校が一番にぎやかになる時間がやってきた。撫子と忍足が部活へ行こうと荷物をまとめ始めた。 そこでふと撫子は思う。女子と話した記憶がない。と、 「ねぇ…忍足さん?」 「なんや?」 「私、女子と話してないよーな気がしなくもないような…。」 言葉を濁しまくる。 「あー――。始まっとるなぁ…。」 「あえて聞きますけど、何が?」 「…イジメ?」 「ジーザス。なんとかしなきゃ…。あ、この学校の文芸部ってどんな感じ?」 「は?なんでそんなこと…オタクは所属しとらんで。」 「……そか。よし、」 オタクは居なくても腐っている子は居そうだな。 「忍足、協力してくれるよね?」 「協力てなんや。」 「黙って協力してくれないのかな、かな?」 セリフの元ネタはかわいらしいのに撫子が言ったら恐怖でしかない…ドスがきいている。 「させていただきますぅ。」 |
<< TOP >> |