青春Destroy | ナノ


018


部活を終えて撫子は家に直行。流れるような動作でパソコンの電源を入れる。制服を脱ぎ捨て、前の学校のジャージに着替える。…田舎の学校の……所詮イモジャー。

え?ダサいって?いいの。誰に見られるわけでもないのに、そもそも化粧っけのない私だからノープログレム。私が化粧をするのはコスする時だけだ!あー………折角イベント参加できると思ったのに!初めて東京のイベントいけると思ったのに!ん?あ…あ゛ー――!!ペテンさんのあわせ募集のにメッセ送ってた!?

「ペテン」とはコスプレのコミュニティーの中で人気一位を不動の者にしている男性レイヤーだ。
人気を博している理由としては、写真のクオリティー然り、衣装のクオリティーが他の物と比べることがおこがましいという位のレベル。何よりも「ペテン」本人からの色気が写真からも伝わって来るという。ただ一言、神なのだ。「ペテン」は一匹狼と呼んで良いほど二人で写っている写真がなかった。強いて言うなら、雰囲気出しのために写っていた人の影が有るぐらいだ。影は位置からしてカメ子さんの物。
そんな「ペテン」がボカロのがくぽの「龍ノ啼ク箱庭処リ」のコスをするから誰かKAITOをやってはくれないだろうかと言うあわせの募集をかけていたのだ。

撫子は「ペテン」とあわせを出来るならと言う気持ちで申し出ていた。後は申し出が殺到するだろうからきっと自分は選ばれないだろうと言うダメ元で。

あー、まぁ、選ばれていないだろう。ペテンさんは男子で私は女子だし、目つき悪いし、デカいし……。
とすこし自虐的にものを考えながらコミュニティーにログイン、すると新着メッセが届いています、と。

「あ、…まさかね。」

メッセージをクリックしてみる。

『僕の申し出を受けてくれてありがとう。撫子さんと合わせをあわせをしてみたいと思います。詳しくはメールでやりとりしましょう。僕のアドレスはpuri@pupi-naです。ではメール待ってます。』

「えんだぁぁああああああああいやぁあああああああああああああああああああああ!!!!」

嬉しさと悲しさが入り混じる。一日前の撫子なら嬉しさオンリーだけだが今はもう参加できないという残酷すぎる現実が撫子を追い立てていたため…色々と複雑な気持ちである。

「うわー、どーしよ…アドレスまで送ってくれてるよ………。とりあえず私のも教えておこ。」

撫子はメッセージの中に書かれてあったアドレスにメールを送ってみた。

『撫子です。送れていますでしょうか?』

これが無難だろう。

「わー、ドキドキする。男子にメールするなんて久しぶりだ。…あ、忍足にメールするの忘れてた。」

忍足からアドレスを教えて貰い、自分はアドレスを覚えてないからといってあとで空メールを送ることになっていた。

「あー――、送信っと。」

本当に空メールを送った撫子。……愛がない。

そしたらすぐに返信が返ってきた。

「うお!?ペテンさん!?」

とメールを確認してみたら、忍足だった。

「………チェ、タイミング考えろバーロー。」

ケータイを放り投げる撫子。
忍足のメールの内容は『ホンマに空メール送ってこんでもええやろ!?悲しい、悲しいよぉ?』であった。忍足のメールにウザさがにじみ出している。「ペテン」のように色気を出せるようになれ、文書で。

撫子は「ペテン」からのメールを待っていたが返ってきたのは数時間後、日付が変わるか変わらないかの時間であった。確認してみると、『メールありがとうございます。今日はもう遅いので明日また連絡を入れます。その時に色々と相談しましょう。』
と丁寧な文書で返ってきた。
撫子は時間が遅いこともあり確認もおざなりに眠りについた。

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