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「椿崎さん、妄想するぐらいなら俺達と水中バレーしない?」 片手にビーチボールを抱えた幸村を筆頭に立海メンバーが寄ってきた。 「ん?精市君ではないか。水中バレーねぇ…ミスったら罰ゲーム、とかないよね?」 「んー…それはどうだろう。やってみてからのお楽しみかな?で、やるの?やらないの?イエスorハイ?」 「ja!」 「…やるねー、椿崎さん。」 「精市君、滝のセリフはパクらない方がいいよ?私、滝の前でそれ言ったら関節技決められたから。」 「フフ…目の前で言うからだよ。」 「そうなんだよ。次から絶対気をつけようって心に決めたんだ。」 過去のことを思い出しながら撫子は幸村に誘われた水中バレーに参加することにした。立海メンバーの仲間に入り、適当に円になって幸村のサーブから。 「まず俺からね、真田行くよー?」 「よし、来い幸村。」 「ハイ、ドーン。」 ドカン、ギュララララ。 あり得ない音を立てながら幸村の放ったボールは真田に襲いかかる。受けて立とうと身構える真田。 「フンッ…グワァ!?」 案の定受け止め切れなかった真田はボールと共に中を舞った。 「うわー…精市君出オチー…。」 その光景をすでに真田周辺から避難済みだったメンバーが見学していた。 「精市くーん、レベルを人並みに下げてくれますぅ?」 「バレーボールって相手をノックアウトさせたら勝ちなんじゃないの?」 信じられない俺ルールを口に出して下さった。そんなルール初めて知った。むしろそんなデッドルール存在する訳ないじゃないか。 「…は、い?」 「え?違うの?」 「ちょ、この子どうしたの?」 「ちょーっと椿崎いいか?」 ブン太が呼ぶ。 「なんですかね?」 「幸村君の俺ルールは立海では適応されるんだよ。抗うとろくなことねぇぜ?」 幸村被害者の会、会員丸井ブン太。これ以上の犠牲者を出さないようにと、撫子に忠告をしてくれた。昨日のことの謝罪を込めての行為だろう。 「……。」 「悪いことは言わねぇ、出来るなら他の学校のとこで遊んだ方が良いんじゃねーの?」 「そう…しようかな。第二の真田君みたいになるのは嫌だし…じゃ、そう言うことで!精市君さらば!」 逃げるが勝ち。戦略的撤退だから格好悪いことなんてない。 自分の救命第一。と言うわけで逃げ出した撫子。次々と犠牲者を出している幸村のバレーボール。只今真田と、赤也がのびてます。そろそろブン太もヤバめである。 「さて…どこに行こうかな……。」 四天宝寺、青学……氷帝は只今取り込み中…と。 「わー、撫子さん避けてー。」 後ろから呼ぶ声がした。 「え、ぅえブッ!?」 後ろから不二の乗っている浮島が撫子に向かって流れてきた。撫子は避けることが出来ず、水面から出していた頭も水中に埋めることになった。すぐに水面から頭を出す。 「ゲホッ、ガハッ…ズッウヘッ…鼻に水がっ!イッテェ!」 「ギャハハハハ、鈍くさいっすね!」 耳障りな声が聞こえた。 「あ゛あ?」 「ごめんねー、桃がエンジンを止めなくてね。」 不二が若干の謝罪をしてきた。 「…うん。周助君は許す、が…桃尻、テメェは俺を怒らせた。」 「なんで…そんな事あんたに言われなきゃなんねぇんだ?ミーハー女。」 「ミーハー、ミーハー…ハンッ馬鹿の一つ覚えか。もっと頭の言い話し方したらどうよ?頭にババロアでも詰まってんの?」 「なんすか?自分がミーハーだって認めるんすか?」 誰も止めない言い争い。何故誰も止めないか、理由は二つ、ただ単に興味がない。もう一つは、不二や滝の魔王御三家の圧力によるものだ。だって面白いでしょ?なんて副声音がその無言の圧力から聞こえて気がするのだ。 |
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