青春Destroy | ナノ


202


三日目の始まりである。
撫子は今日何をしようかと食堂で一人朝食を食べながら悩み中。やることなら山のようにあるが、何分みんなの動きが分からない。とりあえず、赤也と財前とでゲームをする事は決定事項だがそれで一日潰すことは惜しい。
どうするべきか、

「撫子さんが今日何をしようかと思っている確率90%。」

「おはよ、マスターに乾君。」

「あぁ、おはよう。」

撫子に声をかけてきたのは柳と乾。

「マスター、残りの10%をなんだったんだ?」

「妄想だ。」

「…あぁ、なーる……否定はできない。」

「撫子さんは今日午前中空いているな?」

「へ?あぁ、うん。赤也君達の約束を午後にしたら午前中はフリーだよ。」

「話が早い。午前中は俺と貞治と考察をしないか?」

「了解。考察テーマは?」

「グリム童話の登場キャラを全て男にしてBLにくっつけると言う考察をしてみないか?」

「なにそれ面白そう。血生臭いの中心?それとも最近の童話中心?」

「お好きな方をどうぞ。俺としては血生臭い方がより濃いBLを思いつきそうな気がする。そうなれば、場所だな。誰も来ないような部屋があるか?」

「蓮二、丁度このホテルには簡易図書館があるらしい。そこで話さないか?」

「俺は構わないが撫子さんはどうだ?」

「そこ以上に最適な場所など無いと思うよ?」

三人は早々に朝食を食べ、移動する。撫子はその間に赤也へゲームは午後からという旨を伝えるためメールした。
そして三人は図書館へ到着。まあまあな広さを誇る図書館の空間を三人だけで使う。なんともリッチだ。撫子達は椅子に座りふぅ…と一息。

「…誰から話す?」

「俺から話そう。」

白熱した話し合いが続いた。時々意見のぶつかりも見られたが、頭の回転の速い奴らの集まりだからぶつかってもスムーズに解決することが出来た。

「柳せんぱーい!…あ!!撫子さんここに居た!」

「「「!?」」」

図書館中に響き渡る元気な声が入り口の方から聞こえた。見ると赤也が疲れた表情で居た。

「赤也、図書館で騒いでは…いけないな?」

「…すんませんっす……。」

「あ…そう言えば赤也君、私になんか用かい?」

赤也は撫子を探していたようだった。

「そうっすよー。もう12時過ぎてんのに…。」

「12時!?」

話し合いが白熱しすぎて時が経つのを忘れてしまったようだ。

「っすよ?撫子さん食堂に来ないし、メールや電話しても反応ないし、どこにいるか分かんねぇし…。とりあえず柳先輩に聞いてみようって図書館来たんすけど、撫子さんもここに居たんすね。」

赤也が言うとおりケータイの着信履歴を見ると沢山の赤也の名前があった。

「…サイレントマナーするの次からは止めておくよ。」

「ぜひそうしてくださいっす。」

「ふむ…マスター、一応赤也君との約束の時間になったから抜けるよ。」

「あぁ、了解した。俺と貞治はもう少しこの『ヘンゼルとグレーテルと魔女が全て男だったら、誰が受け攻めか』を話し合う。俺と貞治にしてはCPが逆CPになってしまったからな。よろしいならば戦争だ。」

「受けてたとう教授。」

只今柳の意見と乾の意見が対立しているようだ。話し合いは既に戦争と言える。小難しい単語がポンポンと飛び交う様子を見て赤也の脳内には「?」が乱舞した。
赤也の様子に気付いた撫子は二人の討論から耳を離し赤也を連れてゲームセンターへと歩いていった。

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