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「そう言えば謙也君大丈夫?湯当たりでもした?さっきから喋っていないのだけれど。」 さっきから一個も喋っていない謙也に心配するようにスィーッと移動し近付いた。 謙也は慌てふためく。謙也はウブなのだ。宍戸と同じくらい。だから恥ずかしがって撫子の方すら見ることが出来ていない。もちろんその心理を分かっての行動。鬼か撫子は、 「や、そうやない!そうやないで!出んでも大丈夫や!」 「…ならいいんだけど……。」 「椿崎、椿崎。」 手招きをして撫子を呼ぶブン太。 「なんだい?丸井君。」 同じくスィーッと近付いた。 「あのよ、なんか頭が表面的に痛いんだわ。なんかなってねぇ?赤くなったりとか。」 はーい、嘘ですね。何という小癪な用事を作っているのですか。君、さっきから見すぎなんだよ私を、チラチラチラチラ、見るなら光君みたいに男らしくしろ!って言うか、赤くなったりとか言われても君の頭元々赤いからわかんねぇっつーの! ここで丸井君が一番オープンドエロという格付けが決まりましたー。おめでとう。おめでとうパチパチパチ。 「んー?どれどれ?」 と言いながら撫子は丸井の正面にわまり、湯船から少し立ち上がって前から頭の状態を見る。 「なんもなってないよー?」 「そ、そうか?なら諦めるわサンキュ!」 「やー…いいってことよ。」 撫子は再び肩下までお湯に浸かり始め居た位置へと戻っていった。視界の端ではリョーマと財前が再び力強く腕を組む姿が見受けられた。ブン太ぶっ潰し隊結成の瞬間だったらしい。 ピチャピチャ…。 さっきからお湯が顔辺りにかかってくる。鬱陶しい。 「…仁王…貴様はガキか。」 指で器用に形を作って簡易型水鉄砲を使って攻撃してくる。 「やりたくならん?こう言うの。」 「精市君や周助君には?」 撫子も負けじと仁王に向かってお湯をとばす。 「勘弁してください。」 「フフフ、良い判断だよ仁王。」 「そうだね、僕にかけたら試合で負けるっていう姿よりもっと惨めな姿を晒さしてあげる。」 「………ピヨ。」 冗談に聞こえない。 そしてお湯の掛け合いは指、手、腕まで使い大合戦となった。撫子も同じくだ。 そして事件は起こる。と言うか起こした。撫子の体に巻いていたタオルがはらりとズレそうになってしまったのだ。危ない!見えてしまう! 「!?」 「「!?」」 とっさに手を巻いて防御に回った撫子。 「セ、セーフ?」 「見見てませんっすよ!俺、何も見てませんっす!」 「あー、はい、見えとりませんでした、チッ。」 「惜しかったなー、チッ。」 「オイ、今舌打ちした忍足面かせや。見たならテメーのネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲見せろや。」 「見とらん言っとるやん!ちゅーかなんで俺だけなん!?ぜんざいさんかてしとったやろ!」 「忍足知っているか?光君は俺のお気に入りだからよし!可愛いし、後輩だし。」 「贔屓や!」 「忍足さん忍足さん。」 「なんや!?」 「お気に入りに入ってないんすか…ダサいっすわ。」 普通なら可愛いと言われたら屈辱以外の何物でもないが表情はとてもドヤっていた。 「なっ!?」 思わず絶句。 |
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