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真っ赤になった財前と赤也を撫子は満足そうに見つめた。赤也は流れ弾に当たったから赤くなってしまったようだ。そして屋内庭園を目指して歩いて行った。 「あ、軍服のまま来ちゃった…まぁ、来場者は私らだけだしいいか。」 屋内庭園に行ってみると一角、毒草コーナーのあたりに白石はしゃがんでいた。 「…本当に居た……あ、そう言えば蔵さんのサイトのサブ連載に毒草がいっぱい出てる小説があったな。」 あれは読み応えがある。偏った知識だけど頭がよくなった気もするから。 「くーらーさん!」 後ろからポンッと肩をたたいた。 「うお!?…団長や、団長再びや!」 「…平伏せ蔵ノ介。」 「名前呼びッあざーす!で、なんや?」 「あぁそうだ。あのね今日のお風呂ね、露天風呂の方に来てくれない?」 「そう言えば貼り紙があったな。やけど野郎だけで露天風呂行ってもなぁ…おもんない。」 「なんて贅沢なッ!私も入るんだよ今日、露天風呂にね。」 「な、なんやて!?なんちゅーユートピアや!?」 「でね、そこで周助君発案の悪戯めいたことをするんだけどね?」 そう言って撫子は不二発案の悪戯を説明する。 「なんや…少し残念やな……。」 「おい、期待してんじゃねーよ。流石にそんな恐ろしいこと出来るか。で、ついでだから私もこんな事したいんだけど…蔵さん協力してくれない?」 撫子がしたいことを説明して、白石に協力を仰ぐ。 「なんや!?それ、めっちゃ楽しそうやん!カメラ要るやん!俺の防水加工しとったかな…?」 「その辺は私が撮って蔵さんにデータは提供しよう。で蔵さん、協力してくれるかな?」 「いいともー!」 協力者確保。これで風呂の時間を待つばかり。 そしてお風呂の時間。基本自由になったから男子側もバラバラと風呂に向かうため昨日よりは狭くなさそう。撫子が女湯ののれんを潜ろうとしたときに男湯に入ろうとする団体と出くわした。 「あ。」 「「「あ。」」」 男子は幸村と不二、財前、リョーマ、赤也、白石、丸井、ダブル忍足、仁王というメンツだ。 「…なんかカオスなメンツだね。」 確かに人選は滝達に任せましたが…接点があまり見受けられない。 「あぁ、たまたま一緒になったんだよ。たまたまね。」 たまたまを強調させる。と言うかさせすぎている。 「そっか。今日は広々と入れる人数じゃん、よかったね精市君。」 「うん、そうだね。」 「じゃ、私もお風呂入るから。」 撫子はささっと暖簾をくぐり脱衣所へ。 「ヤバイヤバイ、もう少しゆっくり来る手筈だったんじゃないの!?クッソ早く準備しないと!」 脱いで、着て、巻いて、持って、いざ露天風呂へ。 露天風呂にはまだ男達は来ていなかった。どうやら間に合ったようだ。 「よし、一番!えーっと、これはここに隠して……で、どうやって待とう?男湯を背に向けるようにして入っとこうか?」 うーむ…と悩む。 ここで説明しておこう。 不二発案の悪戯とは、撫子が混浴と気付かず露天風呂に入っていて、そこに男子ズが入ってきてその反応を楽しもうという企画だ。協力者にはちゃんと説明したため話を発展させてくれる桜となるだろう。 「そう言えばあのメンツはちゃんとバランスとれてたな。監視役と桜が二人、思春期真っ盛り組と、純情少年っぽい役が一人、あと…ロリコン足フェチ野郎……何故従兄弟同士でここまで属性が違うんだ?…謎だ。」 ガタン――。 男湯の方から物音が聞こえた。 「あー…来るか…。」 私は混浴であることを知らなかった人。私はある程度恥じらいを持っている設定で、純情少女で、そうだ。王道逆ハー夢主を思い浮かべてそれを演じればどうにかなるか?…あ、忍足には注意だな。よし、撫子なら出来る。やればできる。きっとできる。Yes,I can. 「……あ!?」 一番に姿を現したのは赤也で露天風呂に入るのが初めてなのか、久しぶりなのか、テンションがあがっていた。 「ん?きゃ、ああ赤也君!?」 きゃ、ってなんだ、言ってて一瞬寒イボ立ったぞ。きゃッとか普通言わねぇだろう。オラそこ、仁王笑うな。…にしても赤也君…だよな?髪が少しストレートになってるけど…なーんか新鮮だなぁ。 |
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