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「っという感じだ。」 「おー!さすが舞長さん!一つ一つが綺麗だ!…でもさここにこの動きを入れたいんだが?」 「…それを入れたら難易度が跳ね上がるが?」 撫子は自分でカウントをとりながらその部分を踊ってみた。 「っしょお!踊れたぜ!?ドヤ!」 「…その身体能力の高さに脱帽する。その動きが出来るのならばここにこう……。」 撫子の身体能力の高さは手塚が想像していたより上だったようだ。踊れるということがわかった瞬間、さらに難易度が高いステップを入れ始めた。入れてみて通して踊ってみる。 「っっと、ギリセーフ?」 「ああ、もう少し練習すれば完璧に踊れるだろう。」 「よし、舞長さんからお墨付きをもらえたッ。」 「手塚…さん、撫子さん……。」 「「!?」」 二人を呼ぶ声が入り口の方から聞こえてきた。振り返ってみると赤也と財前が居た。 「……赤也君に光君…何時からそこに?」 撫子は少し焦りながらも冷静に対処する。 「妄想税のサビを踊ってるあたりからっす…。」 随分と長い間そこに居たことになる。と言うより始めからではないか。理由を聞くと入っていける空気ではなかったから、だそうだ。 「結構…長い間そこにいたんだ。」 「そう、なるっすね…あの手塚さんって舞長さんだったんすか?」 「なんや、自分知らんかったんか?」 焼肉の時に知っていた光はドヤ顔だ。 「知るかよ!舞長さんっていつも馬の被り物してっしよ!」 「ハッ、だっさ。」 「んだと!?」 やだ、言い争いだなんていい喧嘩ップルの証拠じゃないの。しかも二人で居るって事は今日一日行動を共にしたって事ですよね。デートですよね?分かります。 「いいぞ、もっとやれ。カプるから、もっとやれ。」 「「…………。」」 撫子が腐腐腐と笑うと二人は黙った。 「チェー、そうだいっそここで紹介しとこう。赤也君、手塚君は舞長さんであってるよ。んで手塚君、赤也君はゲーム実況のレッドアイさんだよー。」 先程まで他校生に見られたショックでフリーズしていた手塚だが撫子に呼びかけられ意識が戻ってきた。 「む?レッドアイさんだと?」 「オーライ、だからバレてもまだセーフ。」 パンピ、さらには同じ学校の生徒が手塚のあの姿を見ていたら両方とも数日間立ち直れないだろう。 「さて、二人はなんで戻ってきたんだい?」 何か用があったからここに来たのだろう。 「あ、さっきたまたま跡部さんに会ったんすけど、これから夕食の準備をスタッフがするらしいから部屋に誰か居るようだったら出て行くようにって言付かって来たんす。」 「そうか、わざわざありがとね。」 ならば移動せねばと行動する撫子。 「あ、の…撫子さん!」 「何かね?」 「一回で良いから踏んで欲しいんすわ!」 と言いながら横になる財前。 「え……?」 「さぁ!俺のことは玄関マットや思うて踏んでください!あ、自分写メ頼むわ。」 財前は赤也にケータイを渡す。 「お?…おぉ。」 財前のいきなりの「踏んで」発言に度肝を抜かれた赤也は一瞬戸惑ってはいたが、すぐに冷静になった。 「え、マジで踏むの?いや、確かに私は自称Sだが、こう、改めて行動しろと言われると…。」 いざ「踏んで」と言われると踏みたくなくなる…と言うか躊躇する。 「早よしてください!さぁ!さぁ!さぁ!」 目をランランと輝かせながら撫子を見つめる。 「じゃあ……えい。」 お腹あたりを軽めに踏んでみた。と同時にシャッター音。 「あざーすッ!」 とてもいい笑顔だ。きっと白石なども見たことはないのではないか? 「じゃ…私ちょっと蔵さんに用事があるから。」 「えー!?撫子さんこれからゲームしましょうよ、ゲーム!」 「ゴメン、また明日にでも……蔵さんどこにいるか知らない?」 白石に用事があって会わなければならないが、肝心の場所が分からない。 「…部長なら屋内庭園でなんや毒草を見とると思います。」 財前が渋りながらも教えてくれた。 「あー、あー……フフッありがとね?坊や。」 とお礼のつもりでガチ女官を妖艶に演じてみた。ファンサービスです。 |
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