青春Destroy | ナノ


193


簡単に挨拶をして解散となった。撫子は宣言したとおり売店へ。

「えーっと……。」

店内を物色。そしてお目当ての物を発見して購入。その後に自分の部屋に戻った。
戻った瞬間にベッドへダイブ。このフカフカなベッドがたまらない。家に持ち帰りたい。って言うかここに一生住みたい。

ピーンポーン――…

「ん?」

インターホンが鳴った。いったい誰だと言うんだ?扉の方へ行って扉を開ける。

「どちらさんー?って舞長さんじゃないか。」

扉を開けた向こう側には手塚が立っていた。

「あぁ…部屋にいたのか。」

「うん、今さっき帰ってきた。」

口振りからすると探し回ったようだ。

「これから生放送をしようとおもうのだが…出てはくれないか?」

「あぁ、了解。もちろん出るよ。場所は?」

「俺たちが泊まっている部屋だ。」

「……は?」

そんなおおっぴらに踊るつもりなんですかい?部長の威厳はー…?

「大丈夫だ。みんな出払っている。」

しかしいつ帰って来るかわからない状況であることには変わりない。

「……そうでした。舞長さんの動画はスリルがあってなんぼでしたね。」

「そう言うことだ。移動するがその格好でいいのか?」

撫子はただいまジャージ。ちなみに手塚はそれなりな服。それなりな服を着ているのに馬の被り物ですべてが残念になるのだがね。

「あー…どうしよう、ジャージしか持って…あったわ。昨日着た軍服がそこに…。」

昨日から放置していた軍服がそのあたりにポイッと置かれていた。

「昨日みたいなのにしていくから先に行っといて。あ、そうだ。今回面白いものを私は用意したんだよ。」

「それは楽しみだな。15分後に始める予定だ。できるだけ早めに来てくれ。」

「了解。」

いったん別行動。撫子はさっさと着替えてすぐに合流。


「お待たせー。ドヤ!舞長さんに合わせて馬の被り物を買ってカスタムしてみました!」

とテンション高めに手塚に被り物を被った状態で披露する撫子。馬の被り物の後頭部に穴を開けてそこから自前のポニーテールを引っ張り出している状態である。

「ブハッ…。」

「…舞長さん。分かっただろう?馬の被り物の破壊力。」

「……失敬。」

「コメントが楽しみであるな。さて、今回踊るのは威風堂々、妄想税、ギガンティックO.T.N、脳漿炸裂ガール、千本桜、ハッピーシンセサイザ…でいいんだよね?結構あるね……30分ブッ通しか。」

「あぁ、それくらい踊れるだろう。いつもの部活に比べたら軽いものだ。」

「…わたしゃ部活なんぞ、ただのマネだ。動いとりゃせんぞ。」

「…センターはその畳のラインだ。量については撫子さんにとっても平気だろう。よし…撫子さん、始めるぞ?」

「何時でもバチ来ーい。」

そして始まるダンシングタイム。
間違えたら終わりと言うハラハラ感と、誰が来るのではないかというドキドキ感がなんとも言えず楽しい。マジメに踊ること数曲。生放送は終わった。

「乙ぅうううううううあ!疲れた…今日は体を酷使しすぎたよ…。馬の被り物するんじゃなかったぜ。酸欠になるし、視界悪いし、センター分からなくなったし。」

「協力してくれて助かった。」

被り物をとって撫子と向き合った。

「いいえー、こちらこそなんとも言えないハラハラ感があって楽しかったんでー。」

「そうだ、例の曲の振り付けも考えてみたんだが…今伝えても大丈夫だろうか?」

「マジで!?今教えてくれるんなら教えて!」

手塚はあの約束を覚えていてくれたようで、考えてきたそうだ。体もいい感じにほぐれているし手塚による振り付け指導が始まった。カウントを一緒にとりながら踊っていく。

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