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「わー…撫子、負けちゃったね。」 滝が端の方から歩いてきた。負けたという事は、氷帝メンツが女装をしなければならないわけである。誰かが言った。言いだしっぺが負けるというジンクス。まさにそれ。 「ヒッ…その、跡部にも同じ事が言えるのでは…?」 「跡部には初めから期待してないから。」 「オイなんだと。」 「た、滝様ッ…お許しを!決して、決して意図的に負けたのではございません。むしろ私は戦いましたッ!全身全霊をかけて跡部と!!」 「うん、まぁ許してあげる。罰ゲーム提案したの僕だし。」 ホッとした撫子だった。 「じゃあさ、赤也君は立海だから…立海のみんなが氷帝に何を着てほしいか指定してよ。」 「え?マジっすか?どんなんがいいっすかね!」 まさか自分達で指名が出来ると思ってなかったようで、ルンルンとメンバーに駆け寄る赤也。 反対に絶望した顔色を見せる氷帝メンバー。の中でテンションが高い撫子。 「みんなどんなの着されるのかなぁwktkだ。」 「なんで撫子はそんなにテンション高いんや…。」 「女装とか大 好 物!むしろ主食!」 「俺、こんな身長なのに…似合いませんよぉ!」 ワァっと今にも泣き出しそうな鳳。 「大丈夫、似合わない女装こそジャスティス!!」 「ところでよ、撫子は女装なのか?女装っつっても撫子は女だし…?」 「あー…男装にでもなるんじゃないのかな?ま、どっちにしたってコスプレでいっつもしてるからどうってことないけどねー。」 「決まったっすー!」 立海メンツがこちらに寄ってきた。 「みんなで話し合った結果ー、まぁ主に部長と柳先輩と仁王先輩が決めたんすけどー。」 「「「ゲ…。」」」 赤也があげた名前は嫌がらせのプロフェッショナル達だ。 「話し合った結果、こうなった。」 広げられたノート、それを覗き込む氷帝メンバー。 「「「うわ…。」」」 本気ですか?と言う目で立海メンバーを見つめる。 「本気だよ、もう直ぐここに書かれてある物を柳生やジャッカルが持ってくるから。」 そう言われて待つこと数分、入り口が開いた。 「お待たせしました皆さん。衣装です。着替えて下さい。あ、撫子さんは自室へどうぞ。」 ジャッカルが一人一人に衣装を配る。そして苦い顔で受け取るメンバー。 「……なんで、私だけウィッグが無いの?持ってくるの忘れた系?」 撫子以外は配られているのに、ウィッグと言うよりバンスのような部分的に長くなるような。自毛をフルに活かすことができるような。 「はい、このまま短髪のウィッグを被ってしまったらただのコスプレになりますよね。それでは罰ゲームになりません。ですので、撫子さんは不完全な様子で着ていただくことになりました。ちなみに仁王君の入れ知恵です。」 「あァァァんまりだァァアァァァ仁王ぉぉおおおお!!テメェ!明日のあわせの時覚えとけよ!」 「プリッ。」 「ほら時間無いんだから早く着替えてよ。王者の俺達をいつまで待たすつもりなんだい?」 退屈になってきた幸村がダルそうに声をかけた。 「はい!ただいま!」 それに従って一度自室に戻り着替える撫子。 「うっうっう…恥ずかしいよー、ウィッグ欲しいよー、不完全コスを晒すとか…無いわぁ……マジでないわぁ。あ、そうだ。このコスならこーすればコスだと言えなくもないか…?よし、決めた。ガッツリ厚化粧しよう。よしよし、男装にしなければいいんだ。……ん?って事は…跡部達の不完全な女装が見れるんだよね?メイクはしないと思うし、私の腹筋耐えられるかな?」 打開策も立て、跡部達の女装が見れると思ってテンションアップ。 衣装のオプションでついていた長い鞭を手にとって、いざ、登場。 |
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