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「も、無理、マジ、無理。マス…ターなんか、分かった?」 息も絶え絶えだ。 適度な息切れはエロいと言うが、これは悲惨だ。色気のいの字もない。それを少し期待していた白石を始めとするメンバーは頭を抱えて絶望した。 「ふむ…撫子さんはじっくり見たことのある技なら返すことが出来ている。」 「へ?」 「この表を見てみろ。」 と記入していたノートを見せてもらう。技名の後に○や×がかかれている。 「あー…ホントだ。」 氷帝は拙いながらもほぼ返せているのに対し、四天宝寺や青学、立海の技には×が多い。返すことができていないという事実を突きつけられた。 「撫子さんのプレイスタイルはオールラウンダーだな。」 「わー、今頃分かってもおっせぇ…。」 「高校でやれるだろう。」 「あー…。」 「何面白いことをしているんだい?」 「幸村君!?」 幸村が威風堂々と登場。遅すぎる登場である。いや、ベストタイミングである。撫子にとって先程までの相手に幸村が組み込まれていたらそこで意気消沈。全ての気力を持っていかれるところだったから。 「ん?今誰のことを呼んだんだい?」 「…精市君でした。精市君を呼びました。」 「そう、それでいいんだよ。ねぇ柳、それ見せてよ。」 「構わない。」 実験結果を幸村に見せる。 「ふーん…じゃ、早速椿崎さん、俺と試合しようか。」 「え!?いきなり!?」 「たくさんラリーして身体暖まったでしょ?」 「暖まってはいますが…心の準備が出来てませんよ。むしろ休憩を頂きたく…。」 「え?そんなの要る?」 「や、要りません。今すぐに始めましょう。」 「だよね。大丈夫、始めからイップスは使わないから。」 「後から使うんですね。分かります。ド畜生。」 撫子は意を決してコートに入る。 「撫子さん。」 乾が話しかけてきた。 「……なんだい?」 「しっかり見たことのある技なら返球出来るということは、その技自体も模倣出来るかもしれないぞ。」 「やってみる。目指せパーフェクトコピー。」 「サーブ権はあげるよ。」 「どーも。」 えーっと…ナックルサーブはできるけど、精市君の顔面なんかに当たったらそれこそ私の息の根が止められるから。止めて……ここはネオスカットサーブのコピーで行こう。 「っぱう!」 なんとか打て、幸村のコートへ。幸村はそれを見送った。 「あれは…氷帝の鳳の技。」 「あ、撫子さん!打てましたね!」 「君が教えといてくれたからだよ!」 確かに教えて貰うフラグは立ててあった。 「やるねー。」 「…滝……ってお前ら試合しろよ!見んなこっち見んな!」 いつの間にかギャラリーがたくさん。わー、おめめがいっぱいだぁ。 もう色んな意味で馴れ始めた撫子は周りの様子をシャットダウンして次々技を繰り出す。 超高速ライジングカウンター タンホイザーサーブ 破滅への輪舞曲…は成功はしなかった。 ナックルサーブ その他諸々、一度は見たことのある技達。やはり特に氷帝の技が多い。 「教授、これはどう見る?」 「ふむ…博士と同意見だ。撫子さんは踊ってみたなどの動画で模倣する力を培うことだ出来たんだろう。」 「これは樺地や仁王のようなコピーテニスと言うことか…。」 「いや、流石にパワーまではコピー出来ていないし、コピーできる技にも限界が見られる。男が相手となると、力では勝てない…テクニックは丁寧だからテクニック重視ならいい成績が残せるレベルだ。」 |
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