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「重ッ…なんか、すんません。」 「いいよいいよ、終わったことだから。それよりリョーマ!ツイストサーブ打ってみて!」 「え!?なんでっすか!」 「折角だから記念だよ。折角ツイストサーブと言う変化球打てる相手と打ってるんだから、経験させておくれよ。」 「撫子さんがそう言うなら…。」 ラリーを止めリョーマがサーブを打つ体勢になる。 「全国一位の人と私ラリーしてるんだよねー、今思えば。うわぁあお!そう思うと興奮してきた。みんなのサイン後で貰おう。サイン帳……スケブを持ってきてたはずだからそれに書いてもろう…。」 「いきますよー!危ないと思ったら絶対避けてくださいね!」 「バチ来ーい、ドンドン来ーい!」 ボールが高くあがりサーブが打たれた。撫子に飛んでくる。思い人の顔面に当てたくないからといって、手を抜かないあたりテニスプレイヤーとして強い誇りを持っている様子が見受けられた。 「ッWRY!」 顔をそらして、ボールを打ち返す事に成功した。しかしながら返すたまはへなちょこになってしまったようだが。そこは妥協点である。 「撫子さんすごいっす!」 「返った?返すこと出来た!?ヒャッホー!」 返せる事が出来たと言う事実に舞い上がる。 「撫子さん、少しいいか?」 ラリーが途切れたところで乾が話しかけてきた。 「なんだい乾で乾君?」 「撫子さんはテニスを三年前には止めたとあるが…本当にそれ以来テニスをやっていなかったのか?」 ノートを片手に言う。 「うん、無いよ。この春までテニスに関わることがイヤだったしね。」 「……撫子さんのテニスの実力に興味がわいた。少し試させてはくれないか?教授も興味があるだろ?」 「あぁ、先ほどのラリーには目を奪われた。」 撫子の後ろから柳の声がかかった。 「ぅお!?マスターいつの間に背後に…。」 「キング・クリムゾン。」 「ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム!」 「やめろ。では実験を始めようじゃないか。」 いそいそと乾と柳は他の人に自分たちの周りに集まるように指示を出し始めた。 「え…拒否権無しっすか。」 一度も肯定してないぞ。けれど、話は既に他のメンバーへと回っている。仕方ないからちょっとドリンクを飲んで来ることにする。飲んで戻ってくると柳に手招きされた。 「なんだい?」 「これから実験を始めるにあたり方法を伝えておく。」 「いえー…。」 「撫子さんにはこれから彼らとラリーをしてもらう。相手をローテーションで替えてな。そして撫子さんにはその相手の技を受けてもらい、その返球結果を見たいんだ。」 「ふんふん、とりあえず私はずーっとコートの中に入って、普通に打ち返せばいいんだね?」 「あぁ、そう言うことだ。」 「よし、仕方ないから請け負ってやろう!」 「請負人か…。」 「ちなみに人識はリョーマね!んで、いーちゃんは光君!いやー、二人が鏡になるのか。確かに似てるし、ピアスしてるし、身長もいい感じだし。あれ?この二人、コスしてくれないかな。一瞬で桃源郷が作れる自信があるよ。」 「そうかそうか。しかし無駄話はここまでにしよう。最初の相手は…、」 「俺っす!」 最初の相手になるリョーマが元気よく手をあげた。 「越前さっきも言ったように八割の力で良いからな。」 「ウィーッス。」 「リョーマか…リョーマの技ってツイストサーブとドライブBとかだよね?」 リョーマの技を一通り受けて、一人目の実験が終了。 「越前、お疲れ様。次―――。」 と言うように必殺技を持っているメンツ全員を相手にした。先程までゆったりと妄想をしていたつけなのか、休憩を挟んでくれるという親切な制度はなく、柳と乾が予定していた相手がいなくなるまで撫子はコートの中を全力で駆けていった。 |
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