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「さーて、私もグェ…。」 そして撫子も動きだそうとしたが服を背後から掴まれておりその場から一歩踏み出すことが叶わなかった。いったい誰が掴んでいるというのだ。確かめるために振り返ると、リョーマと財前がダブルで居た。その二人が服を掴んでいたらしい。 「「一緒に回っても良いっすか?」」 「良いっす!良いっす!オフコースっす!」 上目遣い×2で簡単に落ちた撫子。萌え対象に抗う術などなかった。 財前とリョーマの足元でお互いの足を踏みあっているという現実は見えていなかった。 「撫子さーん、俺もええか?」 と白石。 「ええよー。」 「では、私達もいいですか?」 と、柳生と仁王。 「いいです、いいです。」 そんな感じで、濃いメンツとの探検となった。さてどの場所から探検しようか。とりあえず、近場から順番に。 「あ、ゲーセンがあるや。」 「ホンマやな、…メッチャ種類あるやんか、遊びきれる量やないで…。」 「蔵さんってあんまゲームしなさそうだよね。」 「せやなー…。」 「撫子さん、俺は音ゲーよくしとりますよ。」 財前が会話を断ち切るように乱入してきた。 「あぁ、確かに。私もゲーセン行ったら絶対音ゲーはするよ。ポップンとか太鼓のマスターとかグルーヴコー☆とかjubeat c○pi○usとか音楽VOLTEX BOOTHとか舞々とか、後ボカロとか。」 「レベルは?」 「もちろん全部MAXに決まってるじゃない。」 「俺もっすわ、対戦しません?」 「するに決まってる。」 「ガチでっすよね。」 「当たり前。私が『ふぇぇッ光君強ぃょ。撫子、怖ぃ。。。><』なんていう訳無いじゃん。光君には悪いけどフルボッコにしてやんよ。」 「望むところっすわ。返り討ちにしてやんよっすわ。」 新たに約束を取り入れ、次の場所へ。エレベーターで階を移動する。 「のぉ、椿崎?ホテルの一階全体がスタジオってどうなっとるんじゃ?」 どうやら次にたどり着いたところはスタジオだったようだ。 一角が洋風、一角が和風、一角が中華風、一角が異次元な感じのするところがあり、それぞれセットがハンパない。無駄な装飾なんてない。どの空間を切り取っても作品となっている。こんなハイクオリティなスタジオも数えるくらいしかないというのに。ただのホテルでこんな設備…。あ、違う。ただのホテルではない。跡部財閥のホテルだった。 「…跡部財閥のやることさ、何でも有りだよ。」 悟りきった表情で仁王を宥める。 「別に良いではありませんか、好都合ですよ。」 「や、じゃがの…この付属されとる衣装にはかなりの偏りを感じるんじゃが…。」 と、指さす先には二次元を愛するものなら見たことがあるであろうというコスチュームがハンガーにかけられ鎮座していた。 「仁王…つっこんだら負けだよ。むしろ喜ぼうぜ?」 「…プリ。」 「撫子さん、ここでダンスの撮影をしてもええですよね?」 「いいよー!機材ならいっぱいあるから高画質なのが撮れるんじゃないかな?操れるかどうかは別として。」 そしてまた、移動。 いっぱいホテル内をまわってここが本当にホテルの中なのか、と疑いたくなるばかりだった。ついでと言わんばかりに外にも出てみた。 「うわぁああああああプールだぁあああああああああ!!」 「せやなぁ…ここで遊んでもええんよな?」 「いいっしょー、みんなとプール…筋肉の乱舞ッ!!みんな!!絶対にプールで遊ぶぞ!むしろ今すぐにフリーの再現だ!!ハリー!ハリーアップ!プール撮影なんて永遠の浪漫ッ!ロマンじゃないよ浪漫なんだよ!」 メラメラとわき上がる闘志。下心がかなり見え隠れしていたが、気にしない。 「撫子さん撫子さん、テニスコートっす!」 リョーマに裾をクイッと引っ張られ、そんな動作に萌え萌えしながら視線を移す。 「ホントだ、あるねー!…今すぐ爆発すればいいのに。」 リョーマに対してデレデレとした表情をしていたがセリフの最後の方では闇を吐いていた。 「おや?そろそろ12時ですよ。あの部屋に戻りましょう。」 柳生の一言で移動する。団体行動では5分前行動が基本。さらに運動部と言うこともあり、みんなはキビキビと行動。 団行動 乱す者は たるんどる と言うわけで、元居た部屋に戻ったメンバー。 |
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