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「撫子さん、一緒に食べてもええですか?」 呼ばれて振り向くとバトルに参加しなかったのか、財前が居た。 「おぉ、光君じゃないか!いいよいいよ、食べましょ。」 「あざっす。」 ちゃっかり横に座る。 「財前なんしょんねん!ずるいで!」 肉を無駄なく並べている白石が叫ぶ。 「うるさいっすわ、部長は黙って無駄ないように肉焼いてそこでムサく食っときゃええんですわ。」 「何をッ!」 「白石、早よ肉焼けや!無くなったで!」 謙也にせかされ白石は渋々焼く作業に戻る。 「光君参加しなくて良いの?」 「ええんすわ。あんなんに参加せんと撫子さんと肉食うとった方が有意義ですわ。」 「そかー、私は参加したかったなぁ…でも女子は戦力外って……酷くない?」 「っすね。」 「まぁ、乾汁飲みたくないから参加しなくて良かったかもしれないけどね。」 「確かに…うちの先輩も沈んどりましたわ。」 「撫子ー、このペナル茶を比嘉中に運んでくれへんか?」 撫子と財前が話をしていると忍足が撫子をパシリに使おうと話しかけてきた。 「えー…まぁいいや。ちょっと行ってくるね。」 「早よ戻ってきて下さいね。」 ウルウルとした財前の瞳にノックアウトされつつも撫子は忍足からペナル茶を受け取り、運ぶ。 「お待たせしましたー。誰が飲むんですか?」 「俺さー!」 ひときわ体格の大きい男子が叫んだ。 「えー…どうぞ。」 名前を言おうとしたが分からなかった。 「彼は田仁志慧君ですよ。」 「あ、ご丁寧にどうも………〜君。」 「私は木手永四郎と言います。」 「どうも木手君。」 「失礼ですがあなたの名前は?」 「氷帝学園の椿崎撫子です。」 「やーも金持ちなんさー?」 「存在が嫌みっさー、去ね。」 金髪男児に、帽子男児。喧嘩を売りました。 「ぁあ?残念ながら私は庶民です。今は変なプロジェクトに参加しているので、通っているだけでですよ。存在が嫌みなのは跡部だけですよ。私を嫌み対象にしないで下さい。」 「…跡部が嫌いなんさ?」 「視界には入る分は全く問題無いですよ。むしろ入って下さいお願いしますな域ですよ。ただ、あのナルシスな性格が嫌なだけで、」 「そんなはっきり言う女子初めて見たさー…。」 「褒め言葉として受け取っておきます。」 「すみませんが椿崎さん…コスプレなど…していませんか?」 木手がいきなり話しかけてきたかと思ったら、信じられない単語、コスプレなどと言ってきた。 「!?何…を言ってるんですかよ…マジでマジで!そんな、ねぇ…アハハハハハ…。」 「あなたは撫子さんなんですね?あの。」 確信ついたと言いたげに疑問文でない質問をしてきた。 「ハイ、ソデス…撫子デス……。」 あからさまに落胆している撫子。 「ワタシ、モウだめダー…帰ルネー……。」 「ちょっと待って下さい、私もそちら方面で活動してますよ。」 「え゛!?」 「してはいませんが、衣装の方を作って売ってます。チョココロネと言う名前で活動中ですけどね。」 「ッ!?本当ですか!?チョコさんなんですか!?」 木手はチョココロネだったようだ。 『チョココロネ』とはコス衣装制作を手がけ、原作の再現率がハンパない。細かい修飾品までもがクォリティーが高く。全体的にかなりのクォリティーで人気のユーザーである。しかし作るのはチョココロネが気に入ったレイヤーに合った寸法のため、なかなか一般の人は手に入れられないのが現状である。チョココロネが気に入っているレイヤーに撫子は入っているためいくつかチョココロネ作の衣装を持っている。余談だが、ペテンも入っている。 「はい、いつも購入していただきありがとうございます。」 「いえ、こちらこそいつもピッタリなサイズを……。」 「私の特技は写真からでもサイズが分かると言う特技があります。それを利用すれば簡単ですよ。」 |
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