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一度別れを告げ撫子は個室へと戻った。 「ただーまー。」 「やっと戻ってきよった。なんや、えらい時間かかっとったやん。ゴールデンシャワーか!」 「べーやん、下品やで。まぁ、遅くなったのはあれじゃ。青学があっちで焼肉食べとってな。桃城と全面戦争してきたんよ。ホンマ桃城でぇれぇムカつく。」 「桃城、とか…?あいつ撫子の逆鱗に触れるような事したんかな。つか撫子方言やめぇ。怖いわ。」 怒りから抜け切れておらず、未だに方言を発していた。封印しようとしたのにね。 「おや、失敬。…うん、デカくて嘘吐きなミーハーな女って言われちゃった。」 「桃城…そんな死に急ぐ奴には見えんかったんやけどな…。」 思わず忍足が桃城に同情。 「そうだ跡部、大分昔偵察に言ったことバラしちゃった。」 「終わったことだ。もう…いい。」 少ししんみりとした空気が流れた。しかしすぐに騒がしくなった。店側が、 「なんや?」 「さぁ?」 確認しようとふすまを開ける。 「待て、」 「は?」 跡部がその行動を阻止し、指を高らかに鳴らした。すると向こうの方からふすまがスパーンと開いていく音がした。そして最後のふすまが開かれ氷帝と青学が対面した。 「おいおい何のパーティーだ?これは、」 「…なんか人数、増えてる。」 「ぎょーさん居るなぁ。」 「「撫子さん!」」 呼ばれた方を向いてみれば四天宝寺のメンツがゴソッと居た。 「ぉお!?蔵さんに光君ではないか…つか四天宝寺が増えてる……後は…分かんね。」 見たことが無い学校だ。 「…全国大会参加校位覚えときや。」 「…自分校とあたる所以外覚えてなくても支障はない。そもそも参加校何校あると思うってんだ。」 「六角中と比嘉中やで、まぁ…千葉と沖縄やけん知らんでも仕方ないわな。」 「そう言う忍足は何故知っている。」 「なんや、これから焼き肉大食いバトルをするそうや。で、俺はその司会で…資料がここに……。」 所謂カンニングペーパーを所持していた。 「自分こそ覚えてなかったんじゃん。」 「椿崎さん、椿崎さん!俺も司会だよ!」 「おぉ、菊丸君。肉は美味しかったかい?」 「あー…うん、肉は美味かったけど…大石が……。」 チラッと大石の方を悲しそうな表情で見つめている。 「どしたんだ?………大石君、何があった。」 つられてそっちを向いてみると禍々しいオーラを放ちながら青学メンバーに肉汁の大切さを教えている。そして触角が立っている。 「大石って焼き肉奉行だったんにゃ…俺、同調もう無理かもしれない。」 「…うん、ドンマイ。人ってあんなに変わるんだ…。」 そして始まった焼き肉大食いバトル。ルール説明を聞いてスタート。 「……ってどうして乾汁があるんだ!?」 これは乾でんちさんの作品のはず……ハッ、まさかここに乾でんちさんのファンが!? 「なんだ、乾汁を知っているのか?俺が作ったんだ。」 逆光眼鏡の乾が話しかけてきた。 「乾君……乾でんちさん知ってたりする?」 「知ってるも何も乾でんちは俺だが?」 「……へ?」 「考察サイト『理屈じゃない』と言うサイトを俺は乾でんちとして運営しているが?」 「嘘だっ!」 「嘘をついてどうする。事実だ。……まさか…椿崎さんは…撫子さんか?教授の…いやマスターのサイトと相互している。」 「はい、そうですが……乾でんちさん…とすでに知り合いだったとは、思いませんでした。」 「ふむ、俺もだ。しかし近日中に会う予定にはなっていたいたからな、少し早まっただけだ。」 「ソデスネ。今度マスターと三人で色々な考察しましょうね。」 「あぁ、勿論だ。」 短い返事をした後、乾は大食いバトルに参戦した。暇を持て余している撫子。仕方ないから近くのテーブルで焼き肉を食べることにした。 |
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