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いらっしゃいませー! 店員が元気な声で挨拶をしてきた。跡部達はどこだ?と聞いたところ奥の個室だそうでそこまで進んだ。 「よ、跡部持ってきたよ。ありがたく被んな。」 「フン。」 跡部が坊主からいつも通りの髪型になった。被り方とか知ってたんだ。 「でもさ…近々青学の人には会うから、普通にヅラ疑惑かけられるよね。」 「………。」 「それは言わんとき。それを覚悟して跡部は被るんやから。」 「…なんか、ごめん。」 「撫子ー、このお肉美味しいC。食べる?」 ジローが箸で摘んだ肉を振り回している。 「わ、ちょっジロー!タレが垂れる!てか飛ぶ!」 「それギャグ?」 「いや、たまたmギャァアアアアア肉がぁあああああああ!?」 ジローが持っていた肉が予想通りに飛んだ。そして着地地点は撫子の服の上。 「あ、ごめん…。」 「あー…制服じゃなかっただけ良いさ。ちょっとトイレで洗ってくるね?」 「ホントごめんだねー…。」 「わざとじゃないから許す。」 撫子は個室から出て行った。トイレについて水洗いを決行。しかし、薄くなったものの完璧には落ちなかった。 「あーぁ…ちょっとシミになっちゃったか…。」 ま、でも500円で買ったTシャツだし良いか。トイレから出て跡部達が居る座敷に戻ろうとする。 「撫子さん!」 しかし、その行動を阻止させるかのごとく撫子を呼ぶ声が聞こえた。 「ん?グハァッ!」 このタックルは昔懐かしのリョーマのタックル。という事は声をかけてきたのは撫子の天使。 「リョーマじゃん!どしたの、こんなとこで?」 「オバさんが祝いだって言って奢ってくれたんす。」 「おー…太っ腹の先生だね。」 私も昔、コーチに奢らせたっけ?あの時は確か…10人位で行って…5、6万円使わしたっけ? 「やぁ撫子さん、こんな所で奇遇だね。」 「あ、周助君も…青学さん勢ぞろいだね。」 「当たり前じゃないか、みんな頑張ったんだからね。」 「そうだね。でも決勝前に良いの?体調崩したりしないの?こんな脂っこいもの食べて。」 「良い脂なら平気だよ。奢らせるんだもん、良いのを頼むに決まってるじゃない。」 「…ソデスネ。」 「撫子さん…。」 「手塚君…。」 オフ時に会うのは何となく気まずい。部活の時とかで会ったら部活の話題で場を凌げるが、こうも何もないときに出会うと撫子の脳裏には手塚にドアバーンを食らわした記憶が鮮明に思い出される。 「あの時は…その……さーせんした。」 「…あぁ、不二から事情は聞いた。気にするな。」 「手塚君アナタが神か。」 あの時の顔面強打を許してくれるだなんて思ってもみなかった。 「なんすか?部長…コイツになんかされたんすか?」 桃城が撫子を睨みながら手塚に問う。 「いや…大したことではない。気にするな。」 「おい、氷帝のマネだかなんだか知らないっすけど…青学に何の用っすか?無いんだったら帰って下さいよ。」 桃城が撫子を威嚇する。何故ここまで撫子が桃城に嫌われなければならないのか納得がいかない。今日の敵は明日の友だぞ。そんな言葉があるが、桃城とは仲良くなりたくないのが本心である。 「ぁあ?桃城武、あんた何様?あんたの許可無くちゃ、青学メンツと仲良くしちゃいけないわけ?つか何なの?何で私ってそんなにつんけにされなきゃなんないわけ?」 「なんか、鬱陶しいんすよ。マネージャーってだけでイヤっすよ。どうせミーハーなんですよね?」 どうやらマネージャー=ミーハーと言う方程式を持っているようだ。 「なんか懐かしいネタキター、私が…ミーハー?そんなん言ったのは宍戸だけだったぜ? そうか君は宍戸属性か…そうかそうか分かった。相手は誰が良い?君確か忍足に負けてたな。だったらもう忍足×桃城でいいかね?むしろ新しくそれでシリアス連載してやる、覚悟しろ。あ、でも君には鬼畜総受けと言う立派なネタがあったんだ。」 「はぁ?日本語話して下さいよ。」 「れっきとした日本語ですぅ。情報処理機能が劣化してるんじゃないですかぁ。」 ハァ…と大げさにため息をつく。アメリカのような大袈裟なジェスチャーもおまけと言わんばかりに付けて。 「撫子さん、桃城。そこまでにしろ…ここには喧嘩をしに来たのではない焼き肉を食べにきたのだ。」 「「………っす。」」 青学組が席へと移動する。撫子は帰ろうとしたが、リョーマに服を掴まれ帰れなかった。 畜生、リョーマ可愛いな。 |
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