青春Destroy | ナノ


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「さて、まずは新人サークルから行きますか。」

ここで説明しておくと壁サークル担当は主に忍足だ。何故なら並ぶ時間がハンパないから。

「すみませーん、この端から端まで二冊ずつお願いします。」
「少し中、読んでも良いですか?」
「ファンです!これからもサイト更新頑張って下さい!」
「本人さん!?うわ、会えて嬉しいです!あ、これ差し入れです!」

とてもエンジョイ中だ。と、集合時間まで一時間をきってしまった。そろそろ戻らないと間に合わなくなるな。

「…………ん?」

撫子はあるサークルで売り子をしている三つ編みの子に目がとまった。三つ編みに赤い眼鏡。一緒に居る子はコスプレはしていないがツインテールというハイスペック。

「テラほむらちゃん(10話ver)!すみませーん!」

心が惹かれ近寄った。

「「はーい!…ッ!?」」

その少女達は撫子に気付き体をこちらに向けた瞬間にほむらちゃんコスをしている子の肘が小銭入れに小銭をぶちまけてしまった。

「あー、もうSAKURA何やってんの!」

「ごめんTOMOちゃん…。」

二人はしゃがんで小銭を拾う。撫子も悪いことをしたわけではないが何となく拾う。

「はい。」

手のひら一杯になっていた小銭を机の上に置く。

「あ、ありがとうございます!」

「いえいえー、で、ちょっと中見ても良いかな?」

「はい!勿論です!」

いっぱいいっぱいの表情で元気のいい返事をしてくれたほむらちゃんコスの少女。色々マジ本家過ぎて禿げた。

肝心の中はと言うと一次創作の小説になっていた。ひとりの少女が同じクラスに居る少年に恋をしてその思い焦がれる心理状況を細密に書かれている。

おー…エクセレント!素晴らしいよ!読んでてスッゴい私もドキドキしてまうわ。
「!?」

次ページを開とそこには挿し絵が、その挿し絵がまた素晴らしい!

線が繊細で、パースに狂い無く、トーンでの誤魔化しも見受けられない。

「これ、一部下さい!」

これは買いでしょ。

「やった!ありがとうございます!」
「やったねTOMOちゃん!」

代金と引き換えに本を受け取る。他にもNLでの二次創作もあったから全種買った。

「初めてだー!全種買ってくれた人!」

「あ、そうなんですか?実は私もノーチェックのサークルさんのを全種買ったの初めてなんですよ。ついSAKURAさんのほむらちゃんに惹かれまして…。」

「良かったじゃんSAKURA、誉められたよ!」

「あ、や…そんな……ありがとうございます。」

顔を真っ赤にして撫子を見つめる。

「カッ!カワイイィィイ!それにしてもクォリティー高いよね。そのウィッグどこで買ったの?」

まるで本物の髪みたいにキューティクルが綺麗だ。

「あ…これ地毛なんです…ちょっと黒染めしましたけど……。」

「地毛!?マジですか!?」

「そうなんですよー、SAKURAったらこんなに可愛いのになかなかコスを会場でしてくれなくて…今日は無理やりさせたんですよ!」

まるで自分を誇るかのように語るTOMO。

「へー…あ、私撫子って言います。」

そう言いながら財布からコス名刺をゴソゴソと取り出し、手渡す。非常時用に持ってきて良かった。交流することはとても大切ですからね。

「「撫子様だったんですか!?」」

名刺にあるコス中の撫子とつなぎを着ている戦場に向かっている最中の撫子を交互に見比べる。

「そうそう、実はね。知っててくれて光栄だよ。」

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