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「なんや、失礼なやっちゃで!」 「あのね忍足、あんたが今した声はね。あー、あー、あー?、んん゛あー…よし。」 撫子が声を整えて、忍足の耳元で囁く。 「大人びてるだけやもん。」 「ひぃ!?」 一メートルほど後退した忍足。囁かれた耳には手を当てて。 「言うたやろ?別の意味で破壊力が有るて。」 忍足の声マネをした撫子。本家忍足ボイスよりは若干高いものの。かすれ具合やその他根本的なのはそっくりである。 「やめやめやめやめやめ!」 「なによ、せっかく私が声マネしてやったのに。つーか自分の声聞いてそんな拒否するとか。」 「自分の声そんなんちゃうもん!そんなエロくないもん!」 「いや、こんなんだからね。」 まぁ実際自分が思っている声と発している声は違って聞こえているらしいが置いといて。 「しかし撫子……えらいヤツやなぁ…そんな声をがらりと変えてもーて…ほかの奴らのも出来るんか?」 「んー、まだ出来ない。実際聞いた時間は短いし…。」 「出来たら聞かせてな!」 「おk。でもこんなクォリティーの声マネで驚くなんてまだ早いよ。笑顔動画には声マネの神が居られるではないか!」 「あの方か!?ウジウジさん!」 「そう!やっぱ知ってたか。」 「当たり前やん、笑顔動画やっとってウジウジさん知らんとかモグリやで!」 「ウジウジ」とは笑顔動画で活動中のユーザーである。主にうpしている動画は声マネして歌ってみた。例えば、ボカロ達の声で既存の曲を歌ってみたり、両声類でもある。カクカクでないボカロ達の声が聞けるからとあって人気を博してるのである。 「私もウジウジさんの曲は大体iPodの中にはいってるんだよねー。やっぱウジウジさんは神だわ。私の声マネなんてまだまだだよ。」 「そやろ、ウジウジさんと比べれんて。でも撫子の結構良い線まで行っとったで?」 「本当!?今度上げる動画は声マネでやってみようかな。」 「頑張れやー。」 撫子はおぅ!と元気のいい返事をした。そして思い出した。来週にはイベントが有るという事が、それに撫子はコスプレ参加をする予定だと。東京に出て初めてのイベントである。 「あ、そういえば来週の日曜日って部活休み?」 そういえば忍足はイベントに参加するのだろうか? 「どしたんや?いきなり…。」 イベントの存在は知らないようだ。忍足はこっちの人だとしてもイベントに参加するようなレベルじゃないのかもしれない。 「………いやー、ちょっと野暮用が…ね?」 知らない人は知らなくても良いのだよ。忍足君。 「何も無いと思うで?基本うちの学校日曜日に練習無いしな。ただ例外があってな、練習試合を組んどったら有るんや。」 「なん…だと……。」 「ま、今んとこ組んどらんし大丈夫やろ。」 「やった!」 |
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