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7月の某日。氷帝学園夏の風物詩校内水泳大会の日がやってきました。ルールは簡単。一年から三年までが団結して速さを競うだけ。一チーム、一のA、二のA、三のAとなる。 クラスから代表三名決め、一人50mを担当。リレーとなるため次の泳者にタッチする事。 「ハイ、今年もやってきましたこの季節!茹だるような暑さ!そんな暑さを解消するには水泳しかないっしょ!と言う訳で校内水泳大会始まるよ!本日実況を担当しますは今年からの転入生、椿崎撫子と。」 「解説はテニス部ファンクラブ会長の私がお送りします。」 プールの一角に設置されたテントに撫子と会長が待機。そこに異議ありと言ったように同じクラスの忍足がやってきた。 「なんで撫子は出んのや!」 「…プィ。」 あからさまに撫子は忍足から目を逸らす。 「めっちゃ運動神経ええのに出んとか認めへんで。」 「…俺はフリーしか泳がない。」 「自分、これが言いたかっただけやろ。」 「うん。あと、私は君らの肉体美を鑑賞するのを徹底するためにここに居るっつーか…。」 もう言いたいセリフは忍足のナイスパスで発言することができたから、今日の撫子の仕事は終わり。後は、今後現れる肉体美をこの目に焼き付けておくこと。と、力強く撫子が心に誓っている間、忍足は会長の耳元でなにやらボソボソとなにやら伝えている。 「忍足君、それは一体…?」 伝え切ったようだが、会長はなんだか釈然としない様子。意味のわからない言葉でも言われたのだろうか。 「まーまー、言ってみぃ、効果は絶大やから!」 「…そういうのでしたら…お姉様!」 忍足に絆され、会長は椅子から立ち上がり、撫子を見下ろす形をとって片手を撫子の方へと伸ばしてきた。 「ん?」 「撫子来い!今度は俺が見せてやる。見たことのない景色を!」 「なっななななな!?ハルちゃぁああああああああん凛ちゃぁあああああああああんああああああ!!」 「その冷めた面、俺が熱くしてやるよ。」 「ああああああああああああああああああああああああああ!!!出る!私リレーに出る!」 「なってんじゃねぇか。熱くよ。」 「う!?ん゛ん…別に。」 「よし、ならええわ。後で迎えに来るで。会長ちゃんGJや。」 「…ええ、忍足君の言ってた通りにお姉様の発言がりましたね。」 「せやろ?」 「次にお前は『なんでも知ってるお兄さんやからな』と言う!」 「なんでも知ってるお兄さんやからな…ハッ!」 「手の上で踊らされる不愉快を君も感じればいいよ。」 「グッ…。」 「さっさといきやがれ伊達眼鏡。私と子猫ちゃんとのすうぃーとな時間を邪魔すんなし。」 忍足は第一泳者だからすぐに合流する事になるだろう。撫子はさっさと水着に着替え、その上から適当にジャージを羽織って再び放送席へ。 「さて!やっと始まりますよ!そして見て下さい!観客席を!本来登校するのは代表者だけで良いのですが、全校生徒が見に来るという人口密度がハンパないことになってます!ぶっちゃけあの中に特攻しろと言われたら私は舌を噛んで死にます!」 「ハイ、去年までは女子しか来なかったので観客はそうでもなかったのですが…今年は男子も来てますから大変なことになってます。」 「何故今年は男子が来ているんだい?」 「それはお姉様を一目見ようとしたからですわ!」 「やっぱ、出たくない。引きこもりになるんだい。」 「無理ですわ。もう登録変更しましたから。」 「グ、行動が速いじゃないのさ…お、ついに選手が登場する模様です。トップで出てきたのは…我らがアイドル部活、またの名をホストクラブ、テニス部だぁ!」 全員が刮目。何時もより露出が激しい。観客席を見れば何人かが失神。その気持ち…分かるよ。 「ヒャッホー!肉体美パネェ!腹筋!キャァアアアアアッ!!紅ちゃん!おいで!次元の壁を越えておいで!ここ筋肉パラダイスだからぁあ!」 「お姉様落ち着いて下さい!あ…選手のみなさんは決められた位置へと移動をお願いします。」 指示により選手が移動。 「……取り乱したようで失礼。第一泳者の紹介をしていきましょう!(テニス部だけ)D組代表、制空権は譲らない!華麗に宙を舞う軽業師、向日岳人!B組代表、寡黙に使命を全うする忠実な戦士、樺地宗弘!H組代表、クールな瞳の奥に暑い闘志を忍ばせる氷帝きっての天才肌、忍足侑士!」 誰だこの煽り文を考えだのは。忍足なんてロリコン足フェチ残念なイケメンでいいのに。 「向日君は飛び込みに、樺地君は泳ぎに期待です。忍足君はッメガネしてないじゃない!」 「おお!会長ちゃん落ち着いて、忍足ぃ!いいこと?暁の水平線に勝利を刻みなさいな!では先生、スタートの合図をお願いします。」 撫子の放送を元に先生が合図を鳴らした。そしてその合図と共に水へ飛び込む音が聞こえてきた。 「一斉に飛び込みました!そしてやはり見せてくれました!岳人のアクロバティックな飛び込み!」 「ですがそれがロスタイムとなってしまったようです。」 「しかし速い速い!あの華奢な体のどこからあんなパワーが…可愛いよぉおお!」 (ほっとけー!可愛いとか言ってんじゃねー!) 「樺地君…サイボーグの様に無駄な動き一切無く進んでおります!」 (…ウス。) 「速い速いエロい!忍足エロ士はもう、あれだね。逮捕されれば良いと思うよ?何あのフェロモン、殺人フェロモン?息継ぎが一々エロくてたまらない。」 (エロ連呼しとるんやないで!) 泳ぎ終わってすぐに忍足だけが文句を言いに来たがオールシカトをかました。いちいち突っかかってこないでほしいね。忍足がエロいのはもうあれだから。校内公認だから。 |
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