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「着々とリレーが進んでおります。おっと次のB組の泳者は…滝様キター!神秘のベールに覆われた、氷帝9番目の男!息継ぎの合間に見せる蟲惑的な笑みは何とも言えない何かがあります!に対するはC組代表、最近髪が無くなった宍戸亮!逆境においても強気で攻める!タフな精神の持ち主!滝を倒してのレギュラー復帰!なんの因果がその二人がまた競っております!」 (何とも言えない何かって何かな?) (だから髪は無くなってねーっつってんだろ!) 「そう言えばお姉様、最近宍戸君が痩せたように見えるのですが…?」 「……ナンデダローネ。」 大丈夫、タフな精神の持ち主らしいから滝様の呪いで衰弱死する事は無いと思うよ。 「オーッ!ここで宍戸の次が超高速サーブで勝利を呼び込む氷帝最強ペアの片翼、鳳長太郎だー!愛のバトンパス!これは瞬きしてはいけませんよー!C組は連続してテニス部を投下!一気に引き離す作戦か!?対抗するはF組代表、飽きなく向上心で次代氷帝を担う若武者、日吉若だー!独特なテニスフォームで有名なあの彼が水泳でもまた披露してくれました!古武術泳ぎ!」 「あ…ここで臨時放送です。C組代表の一人だった芥川君が寝起きのためDrストップがかかり欠場だそうです。」 「えっ…!?そんな…ジロー!なんて言うことをッ!私は、君のプリチーな泳ぎを期待していたというのに!」 うわー!!っと実況を放棄した。天使がいないならこんなことを頑張っていても仕方がない。ついでにもうアンカーの出番がくる。そろそろ移動しなければならない。忍足が撫子に出番が近づいていることを伝え撫子はプールサイドへ。代わりに実況は忍足が務めるらしい。 「H組アンカーの撫子に代わって俺、忍足侑士が実況するわ。よろしゅう。」 氷帝氷帝氷帝氷帝氷帝氷帝氷帝氷帝――――…。 「出たでー、氷帝名物氷帝コール。これを始めることが出来るんは一人しか居らんやろ…冷徹な眼差しが全てを見抜く!コートを司る氷の王様(キング・オブ・アイス)跡部景吾や。…いい加減止めてくれへんかな…。」 跡部は片腕をあげ指を鳴らそうとするが、跡部が鳴らす前に誰かが指を鳴らす。その発信源に対して跡部が睨む。その発信源とは、 「勝つのは私だ。」 撫子であり、バサァッと着ていたジャージを脱ぐ。 「来たでー!我らがH組代表、椿崎撫子や!いつ見ても美脚や!撫子ーナイスプロポーション!」 「忍足、あとで私刑と書いてリンチね。」 「キャァアアアアお姉様ぁあ!蒼の貴公子と呼ばれ桃の姫君でもある。まさに私達を虜にしてしまう…あぁ…お姉様……。」 「あの…会長さん?」 「あぁ、お姉様ぁ…っ!」 「……ま…ええか。さて、ついにアンカーにバトンが渡るでぇ。リードしとるんは…A組や!」 跡部が飛び込む。続いて撫子も、 「これはどうなるんや!?女子の撫子が幾分不利や!……あッ離されてしもうた!」 声援が飛ぶ。氷帝の人気者2トップがトップを争う。どちらも互角だ。 「撫子ー!頑張るんや!勝ったら……あー…新たな萌えが見れるでー!」 カッ、と撫子の目が刮目。 なん…だと?開拓できる…だと?やるしかねーじゃないの!唸れ俺の体力! 撫子が巻き返し、並ぶ。 「お、撫子がスピードを上げてきたで!ッ跡部が負けじとあげてきた!あーッこの先の展開が全く読めへん!」 10m 9m 8m 7m 6m 5m 4m 3m 2m… 「「プハッ!」」 撫子と跡部、ほぼ同時に顔を水面からあげた。 「ゴール!同着か!?タイム係!どうなんや!?」 「A組が…0.16秒差で優勝だよ…。」 「勝者、A組やぁああ!!うわーH組が負けたぁあ!めっちゃ悔しい!!」 悲しむものや喜ぶもの、反応はそれぞれだ。 「ああぁあぁああああ!!クッソ、負けたッ畜生!」 悔しそうに撫子が水面を叩く。 「ハン、椿崎如きが俺様に勝とうだなんて無理なんだよ。」 「ウザい!そのホクロ千切ってやる!」 「出来るもんならやってみな!ファーハッハッハッ!」 「えー…水中下で喧嘩が始まった様やけど…個人タイムの優勝者は撫子やで?」 跡部と撫子の動きが止まる。 「「…は?」」 「クラスはA組が勝ったんやけど…個人タイムは撫子の方が速いらしいで?えーっと…0.63秒。」 「よっしゃぁぁあああ!勝ったぁ!勝ったよあの跡部に勝ったぁああああいぇええええい!」 「なんだと!?間違いじゃねーだろなぁ!」 「ん?跡部…僕の測定にケチ付けるつもり?」 どうやら個人タイムを測っていたのは滝だったようだ。暇だったからとのこと。滝が測っているのならば正しいに違いない。むしろ正しくなければならないだろう。そういう訳で跡部はそれ以上文句を言うことはなかった。 「…そうか。」 「んじゃ表彰式に移るでぇ。」 上位のクラスに表彰。撫子は球技大会とデジャヴったから桃の姫君の恰好をしてやろうか?と提案したが、跡部の断固拒否の姿勢には適わなかった。むしろ断固拒否の姿勢を見て腹筋崩壊を起こしそうになった。 |
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