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「へ?」 「お前、俺に殴られたんだぞ!?俺が怖くねぇのかよ!」 近くにいることが信じられないと言いたいようだった。殴った加害者と殴られた被害者がこんなにも自然に会話をするなんてありえないと言いたいらしい。しかしそんなありえないことを平気でしでかすのが撫子だったりする。 「怖くねぇよ?宍戸は今私を殴りたいと思ってる?」 「…いや今は別に。」 「だったらぜーんぜん平気だよ。むしろこっちが謝んなきゃしねー。」 「なんっ…?」 「だってあれ、わざと私を殴らせたし…。」 「は?」 「だからね、宍戸あの後自暴自棄になって壁とか殴ってもおかしくなかった。壁とか殴ったら手、壊れちゃうじゃん。だから私を殴らせた。人殴っても手、壊れないじゃん?でも十分拳痛いでしょ?壁殴り代行するとか発想消えるでしょ?」 確かにあのまま帰っていたら壁とか殴ってしまいそうだったな、と宍戸は思い返す。思い返して、自分は結構強い勢いで殴ったはずなのに、次の日からヘラヘラしていた撫子に微妙な恐怖を覚えたのであった。 「椿崎さんは…なんで、そんな事をしてまで庇ったんですか?」 「んー…マネージャーだからっていう理由と、宍戸にはまだレギュラーに戻れる可能性があったから。」 「「!?」」 「いや、そこまで驚かなくてもいいじゃんか。実際君達はもう気付いてるじゃん?いつ戻ってくるんだい?」 「……近々戻ってやるよ!待ってろ椿崎!」 久しぶりに宍戸の力強い声を聞いた。 「よし、了解。待ってるよ。」 撫子は二人と別れて家に帰った。 「ふー…良かった。ちゃんとまだ希望は持ってたよ。しかし、鳳と秘密特訓か……どうぞ妄想して下さいって言ってるようなもんじゃね?うん、きっとそうだよ。だって鳳逃げ出したもんね。宍戸のウフンな姿を誰にも見せたくなかったんだよ。」 ほくほくと妄想の材料を持って帰った撫子。その夜は新しいオリジナル小説を短編であるが、あげたらしい。そこそこ拍手数ももらってご満悦である。 そして次の日新たな情報がもたらされた。 「そう言えば関東大会の一回戦の相手、青学らしいでー。」 「は!?マジで!?」 教室でいつものようにいかがわしい小説を読んでいたら忍足から爆弾発言を聞いた。 「跡部が抽選会に行ってくじ引いたら…だったらしいわ。」 「…私、どっち応援すればいいの?」 「いや、大人しく氷帝応援しとき。」 結構真剣な声で言われてしまった。 「冗談ですって、でも…負けたらどっちかが全国行けないのか…。」 「そう言えば撫子なんで一年ルーキーと仲良かったんや?」 「あー…周助君と撮影会して、そん時にリョーマに出会って仲良くなりました。」 「ちょい待ち、今なんて言った?」 「周助君と撮影会…。」 「はいそこ!!なんで不二のこと名前呼びなんや!」 「だって…周助君がこう呼べって…。」 「なんで従っとんねん!いつも俺に逆らうぐらいの勢いで反逆しぃや!」 「できるわけねぇじゃん!だって滝属性だったんだよ!?しかも滝や幸村君とはプライベートで仲良いらしいし、逆らえるわけ無いじゃん!お前滝とかに逆えんの!?」 「聞いた俺が悪かった。」 |
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