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一個貸しやで、と言った忍足はつかつかと撫子に近づき観月の手をベリッと引き剥がした。そして撫子を後ろから抱擁。 「なぁ、自分…俺の彼女に手ぇ出してええと思っとんの?」 「「「!?」」」 目を見開いて三人は驚く(撫子含む)。 「なっなんですって!?」 明らかに動揺している観月。 「なんと言うことを!穢れなき乙女がこんな……っ信じません、僕は信じませんからねぇえ!乙女の隣に並ぶべき人物は僕ですから!」 言いたいことだけを言い放って駆け出した観月。 「観月さん!!…えっと、あの、失礼しました!」 後を追うように裕太も去っていく。二人だけになった空間、未だに忍足は撫子を完全ホールド。 「……忍足サン?いい加減に離して下さいます?」 「んー思えば…あの撫子さんを俺がハグしとんや…hshshs…。」 「私の指示をシカトですか?忍、足、逮、捕ぉお!」 回されていた腕を片方掴みあげ、足を払い、綺麗な一本背負いを決める。 「ぐふぅっ!!」 「フン。」 のびている忍足を放置し、撫子は部活へと戻って行った。戻ったところで聖ルドルフは帰っていったと跡部に報告。それから忍足がサボりましたともついでに報告をしておく。そしてマネージャー業に勤しむ。その時に最近日課となっている宍戸を探せをしてみたが、結局見つけることは出来なかった。ついでに鳳も最近欠席している。うんうん、愛を何処かで育んでランデブーしてるんですね。分かります。 そしてコンソレーションの日、聖ルドルフと戦うことになった。結果を言えば氷帝の勝ち。見事関東大会出場を決めた。祝福するべきタイミングたというのに、撫子は試合に負けた宍戸に対する態度とは180°違い、ジローを怒っていた。ジローが撫子の指示によって正座している異様な光景が氷帝の中にあった。 「ジロー…私がなんで正座させてるか分かる?」 「んー…全然分かんないC。」 眠そうな目を擦りながら答える。 「ジロー、また半分寝ながら試合したでしょ。」 「バレたー…。」 「あのね、ここは公式試合なんだよ?全力で挑まなきゃ相手に失礼でしょ?」 「だって全然ワクワクしなかったんだもん…。」 「だもんって可愛いな、オイ。」 「次から気をつけるから許して欲しいC。」 下がり気味の眉、先程試合が終わったばかりで火照っている顔、適度に滴る汗。そんな顔で懇願されたら許すしかないだろ。 「次からは気を付けるんだぜ!」 「わーい!撫子優C!!」 ガバッと抱きついたジロー。 「わーい、ジローからのハグー!」 「撫子さんから離れなさい芥川慈郎!」 氷帝メンバーではない声が聞こえる。石田公の声が聞こえる。 「何故観月君がここに!?」 「そんな事はどうでもいいです!離れなさい!」 「えー…ヤダC!別に撫子が嫌がってないからEじゃん。」 「キィイイ!!僕でさえ抱きつけないのに!」 ハンカチをどこからともなく取り出し噛む。噛みちぎる勢いだ。しかし今時ハンカチを噛み締めるなんてどこの昼ドラだ。 「いや、二回しか会ってないのに誰が抱きつかせるか。」 「アーン?お前初日から向日に抱きつかれても拒否しなかっただろ。」 |
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