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「まぁ、宍戸の事はおいといて。宍戸は別に権力を持ってる家でもなかったし、注文してからやっとここに届いたわけ。分かった?」 「っ…跡部、滝…みんなありがとうそしてありがとう!」 滝の話を聞いて撫子は嬉しくなった。 仲間、友達だとずっと思ってきていたが、それを証明する物は目に見えないもので、見えないけど確かにそこに絆があるって思っていたけど、目に見えるもので表現されたらそれはもう喜ぶしかないだろう。 「泣くんか?ん?泣くんか?」 「泣きそう…なんて言うと思ったかバァカ!」 でも涙腺が少々緩んでいることは秘密にする。 「なんや…期待しとったのに…。」 ニヤニヤしていたのはそれが理由か。余計に秘密にすることにする。 撫子は一息ついた後、おもむろにレギュラージャージを袋から取り出し広げる。そしてユニフォームを制服の上から着て、中でブラウスのボタンを外す。ボタンを外せたら袖から腕を抜きブラウスを外へ引き出し、ユニフォームの袖に腕を通す。 あっという間にユニフォームスタイルに変身。 「ねぇ、似合う?似合っちゃう?」 「うおー!撫子カッコE!」 「ありがとうジロー!」 撫子も抱き返す。美しい友情だな。男女という性別を超えた友情。誰かが言った。男女間での友情は身のならない。しかしそんな言葉を覆すのがそう、フラグクラッシャー撫子。 「なぁ…撫子、自分何した?」 「ぉお!忍足どや!似合う?」 「あ、あぁ似合っとるけど…自分ホンマ今、何した?」 「ユニフォーム着ただけだけど。いつも着替えてるじゃん。制服からジャージ、ジャージから制服。」 「椿崎先輩…それはいつも制服のしたにジャージを着てるからでしょう…今日のはちょっと違いますよ…。」 「はぁ?変わんないでしょ?いっつも着替えてんだし、今更すぎるっしょ。どうせこの脱ぎ方着方、見えなくて安全なんだし。」 「撫子にはちょっと節度を教えなきゃいけないかな?」 「やーよ、いくら滝様でも…これでも私お淑やかに出来るよ?」 「そのお淑やかさを今発揮したらどや…。」 「ヤだよ。今お淑やかにする理由が見つからないよ。」 「ま、確かに今更椿崎にお淑やかにされてもこっちが反応に困るぜ。」 「やったらついでに言わせてもらうわ…。」 「ん?なんだい?なんのついでだい?」 「着替えるときは下着になってから新しい服を着ようや!そう、二次元の美少女アニメの着替えシーンみたいに!それなのに、今の脱ぎ方…萌えもクソも無かったわ!俺の夢壊さんといてくれる!?機能性だけに特化させんといて!色気、そう…色気を出しぃや!」 「…もしかして…スク水の時も真っぱになってからスク水着替えてると思ってる?」 「当たり前やん。やないとどうやって着替えれるん?」 「「「…………。」」」 空気が凍った。氷河期。大寒波だ。なんて言葉をかければいいのかが分からない。 |
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