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「よー!昨日は私居なかったけどなんか面白いことあったかえ?そうそう、忍足はなんか呼び出しくらったとかで遅れるってよー。告白かな?誰か覗きに行こうぜー!」 テンション高めに部室に乱入。既にレギュラーメンバーが全員揃っていた。何故だろう。遅れると言って教室で別れた忍足が既に部室のソファーに鎮座していた。なんだ。テレポーテーションでも使ったのか。 「…は?…何故、忍足が居る?あんた私に先行っといてって言いながら何故居る?」 「ハァハァ…そんな細かいこと、気にしとったら…ッフゥ禿げるで?」 「なんだお前、先回りしただけか。」 「当たり前やん。全力疾走したわ。」 ニヤニヤしながら忍足が言う。しかしそのニヤニヤとした表情と息切れをしている点でとても通報したくなる衝動に駆られる。 「そのニヤつき何なの?私の髪が禿げる前に貴様の髪剥いでやる。…って君たち何なの!?ジローまでニヤついて!なんなの!?何?虐め!?これから私虐められるの!?虐め、ダメ!絶対!虐め、格好悪い!」 見れば忍足以外も撫子の方を見てニヤついている。 「違うC。これから起こることにニヤついてるのー。」 「ほら跡部!!さっさと撫子にそれ渡せよ!」 岳人が跡部の背中を押す。跡部はテコでも動かない。一体なにが始めるというのか。 「跡部部長、根性無しですね。」 日吉が跡部を挑発。カッとなった跡部は持っていた紙袋を撫子に投げつけた。しかも顔面に向かって上から投げつけた。下から放り投げれば取りやすいのに、わざわざ上から投げつけた。しかしそれをまともに喰らう撫子ではない。とっさなことではあったが、受け止めた。 「椿崎、それ、やる。」 「は?」 「行くぞ樺地。」 「ウス。」 跡部は用件を終えたようで樺地と共にコートへと歩いていった。 「え?ちょ、何?説明プリーズ!!アホ部ぇえ!さっきのカタコトの台詞なんなの?ポニョ、コースケ、好き!みたいなテンションだったぞ。なに知ってんの?見てたの?」 「まぁまぁ、中身見りゃあ分かるで。」 「中身?」 忍足に中身と言われゴソゴソと中身を確認する。するとそこには黒いズボン、黒い襟で袖が水色。肩には正レギュラーの人数分の黒いラインが入っているユニフォームが入ってる。 「…これ。」 「せや、氷帝のユニフォームや。」 「…洗濯しとけと?誰の?大きさ的には宍戸?日吉?」 「何ッでやねん!それ跡部が撫子にやるつっとったやろ!」 「え、え!?これ…もしかして私の?」 忍足の言葉でやっと意味が繋がった。跡部がこんなにも恥ずかしそうに手渡したのも、プレゼント的な意味合いが含まれていたからだ。 「そうだC。やっと今日出来たから渡せたんだよ!」 「…でも今更?私、入部して2ヶ月位経ってるのに…。」 「フフッそれはね、始め撫子にユニフォームを着てもらう予定なんて無かったんだ。」 滝がにこやかに毒のある台詞を吐いた。 「…滝…そんなグサッとくるようなこと言わないでよ…。」 「だって事実だし。けど立海で仁王君のユニフォームを貸してもらって、仲間だって言われたでしょ?」 「…そだけど…また幸村君からの情報か…。」 「そうだよ?で、撫子喜んだでしょ?」 「そりゃあ仲間だって証に貸してくれたわけだし…嬉しかったよ。ここでは貰ってないしさ…。」 「うん、だから用意したんだ。」 「は?」 「僕がこう言うことが立海であったらしいって跡部に言ったらね。用意してくれたんだ。いやー、まさか本当にあの跡部が準備してくれるだなんて思ってなかったなぁ。思ってた以上に撫子は跡部に気に入られてたみたいだね。」 「嘘でしょ?」 「嘘じゃないよ。ただ跡部さ、素直じゃないからね…ユニフォームが届くのが遅くなったんだよねー。」 「は?なんで跡部の素直が関係するのさ。」 「んー…このユニフォームさ外国のブランドなんだけどね、それが頼んでも予約が殺到してすぐ作ってくれない人気のブランドでね。跡部の名前を出せばすぐ、一週間もあれば届くんだけど…跡部ね、一人のマネージャーの為に跡部の名前を使って物を頼むのは恥ずかしいって言って『宍戸』って名前で頼んだんだ。」 「は!?おい、それ俺も初耳だぞ!」 勝手に名字を使われていた宍戸は驚きから声を荒げた。まさかそんなところに名前を使われていたなんて思ってなかったようだ。まぁ、そうだろう。滝がこんな事を言わなかったら、この先バレることはなかっただろうから。 |
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