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一段落してやっとまともな会話をし始める三人。 興奮しすぎて互いに息切れをしている。 「……お待たせしてしまったようでさーせんした。とりあえず、土下座させてください。」 「いんや、こっちこそ変なもん見られてもーたな。土下座はせんといてください。」 「ホンマっすわ。部長が大人しく生け贄になっていけば万々歳やったのに…。部長が土下座すればええんですわ。」 「はい、土下座土下座。なんや財前、お前今日おまけやr「それよりも撫子さん、その服似合っとります。」 財前が白石に対してよろしくない態度をとるのはすでに恒例になっているのか。先輩に土下座を要求し始めた。白石も本気で捉えている訳でもないから口で済ます。そしてお前はおまけで来てるのに態度デカいぞとツッコミを入れておきたかったが、財前がそれを阻止。 「え?…そうかな…。」 撫子は財前に似合っていると言われて少々照れる。現実世界では褒められ慣れていないのだ。 「おん、めっちゃ似合っとります。俺と同じ系統やないですか。」 「私これ以外ジャージしか持ってなくて…ね。もっとイタイタしいものなら有ったけど。 ジャンル被っちゃったねごめん。」 「そんな、むしろ被って嬉いっすわ。ペアルックみたいやん?どおっす?このまま俺の嫁になりません?」 「光君が私の嫁になってよ。私は一腐多妻制を推奨させていただいている!」 「ちょっと待ちぃ!!なに俺を置いてけぼりにしてんねん!」 「なんすか部長。爽やか歌のお兄さんはその辺で歌でも歌っといて下さい。爽やかな歌でも歌ってまた逆ナン待ちをしとってください。」 ザマァ、と言いたげな表情で財前は白石を見下す。 「俺めっちゃアウェイや!!ちょっとその辺の店でゴシック調の服買ってくる!」 「ちょ蔵さん!そこまでしなくても!いいじゃないですか服位!それに私は、その服!藏さんに似合っててとても素敵だと思うよ!私は好きだな!その爽やかな服!!」 どうにかこうにか、その気を収めようと撫子は褒める。ベタ褒める。そのかいあってか、白石はその場に留まり、撫子の言葉を咀嚼した。 「好き…やと!?」 「うん!大好き!だから、遊びに行こう?」 大好きという言葉が白石の頭の中で繰り返される。 「(好きだな!大好き、蔵さんのことが、大好き!)…そんなに言うんやったらこのままでも俺、ええわ。」 「部長、妄想も甚だしい。去勢しますよ。」 「え?財前、羨ましいんかい。え?羨ましいんか?」 「…別に、俺、服調おそろやし。」 「グ…ッ。」 「ま、まー!気を取り直して…とりあえず池袋のメイト行きましょ。」 東京と言えばもっと有名スポットがあるだろうに、何故そこをチョイスした。そしてそれが自然だと言うように二人は無反応。 このメンツ、ツッコミ隊員が不足しています。 池袋のメイトに着くなり撫子は別行動を促す。 「じゃ、後で!」 「「ちょ、待ちぃ!」」 撫子の服を掴んで動きを遮る。 「なんですか!?」 「いやいや、何ってこっちのセリフっすわ。なんで着いた瞬間別行動なんすか。」 「…だって…私もここのメイト初めてだから…素敵に無敵な薄い本(BL)を探しに行きたいんだよ…光君は腐ってないし。」 「そうっすけど…。」 「やったら俺撫子さんと行くぅ。財前はその辺でキャラグッズを漁っときゃええやん。後で待ち合わせしようや。」 ここぞとばかりに白石は別行動の案をごり押しする。 「そうだねぇ…蔵さんは腐ってるからいいかぁ、効率的だし。」 「……っ撫子さん…。」 撫子が最終決定を下そうとした瞬間財前が撫子の目の前に移動、そしてどこぞのチワワのCMの様に撫子を上目遣いで見る。 「っ!?」 「俺…撫子さんと一緒に居たいっす。」 「財前がプライドを捨てた…やと…!?」 白石にも予想外だったこの行動。 「そうだね!三人で一緒に今日はこの中探検しよう!何も今日見なくちゃいけないって事はないんだしね!」 三人は中を探検することになった。 |
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