青春Destroy | ナノ


119


――さん―撫子さん―――

「ん…、あー……イタタタタタ…。」

撫子が覚醒すると頭に強い痛みが走った。まだはっきりとしない意識の中で柳が簡単な質問をして来た。

「撫子さん、この指何本だ?」

霞む視界のなかで見える指の数は三本。

「…、三本。」

「撫子さんは何処の学校に通っている?」

なんて簡単な質問をするんだ。そこまで馬鹿ではない。私は岡山…じゃない。今は氷帝に籍を移しているんだ。即答できなかったなんて、私はバカだったみたいだ。

「岡、…氷帝。」

「ここは何処だ?」

目の前には柳、周りを見ると氷帝程豪華ではない部屋。それから黄色いユニフォームが沢山。黄色いユニフォームは立海のものであるから。ここは立海の部室。

「……立海テニス部部室…。」

「なぜ頭が痛いか分かるか?」

幸村君から一日だけマネージャーしてって言われて、引き受けて、それから…ああ、

「えー……っと…あぁ、金ちゃんが打ったボールが頭にぶつかったんだっけ?」

「よし、意識はしっかりしている。しかし頭を打っていることには変わりない。病院に行った方がいいぞ。」

「うん…明日行くよ。保険証家だし。あ、ダメだ明日日曜だ…。まぁいいや、ところで今何時?」

「午後4時だ。」

確かお昼休憩が終わってすぐに試合を見ようとしてたから結構真昼間だった。13時位だったのではないか?しばらくの間気を失ってしまっていたらしい。

「なッ!?嘘、練習試合は?」

「終わって今俺達は撫子さんの覚醒を待っていたんだ。」

撫子が周りを見渡すと制服に着替えていた立海メンバーと四天宝寺メンバー。
四天宝寺メンバー学ランも持ってきてたんだ。
学ラン萌え。じゃない。

「あのさ…なんで赤也君と金ちゃんと財前さんが正座?…あれ?学ラン?」

三人が床に正座をさせられていた。
しかし財前が学ランを着ていた。何?コスプレ?むしろひかる君とやらの学ランを拝借して勝手に着ていると言うのか。なんて言う萌え?あ、後で写真撮ってもいいですか。とても麗しいです。

「それは…俺……撫子さんを騙してたんすわ…。」

財前が黒い長い髪を引っ張って短髪になる。どうやら長い素敵な黒髪はウィッグだったようで、短い髪の毛が本物だったようだ。

「ハァ!?」

「俺が財前ひかる言います。ひかりなんて人物存在しません。」

今までひかりだと思っていた人物は、四天宝寺男子テニス部レギュラー二年。赤也と口論し、今回の原因を作った張本人でもある財前光だった。

「え…。」

「騙しとってホンマすんませんでした。」

正座からの土下座。

「…なんで…騙す必要があったし。」

「椿崎さん、ほら今回の事件のきっかけだよ。赤也と財前君の、」

幸村が言った。

「赤也君と財前君……あッ私!…地毛、だと?」

思い出した。と言うように撫子もウィッグのズレを確認しようと手を頭に持って行ったがウィッグを被ってなかった。

「あぁ、もう気にしないで、向こうもマネージャー居なかったようだし、こっちもあっちも嘘マネージャー自慢をしてただけみたいだから。」

「え!?…私の努力が…。」

「ホントごめんね?うちの赤也が巻き込んじゃって。」

幸村が正座している赤也の足をグリグリと踏みにじる。痺れているようで、短い悲鳴が聞こえてきた。

「い!?」

「幸村君が謝った!?」

「……なんか失礼だな。謝るさ、まさか怪我を負わせちゃうなんて予想外だもん。」

「あー…。」

常識ってあったんだ…。

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