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「では俺達も部室に戻ろう。撫子さんは観察がしたいのだろう?」 「おぅ、するぜ!!するに決まっているだろう。むしろそれをするために私はこの任務を引き受けたと言っても過言ではないのだから。 食事とは三大欲求の一つ、すなわち本性が出ると仮定する。と言うことは一緒に食べているメンツとはなにかしらの絡みがあればそれは萌えるしかなーい!」 「三大欲求で一番本性が出るのは性欲だぞ?やはり、子孫を残すと言う本能的欲求が人間、本性を表すと思うのだが。」 「……的確なツッコミありがとう。うん、知ってる知ってるけどさ。流石にここでは誰もそんな破廉恥な事しないでしょうが。マスター自重しろ。昼からそんなワード出して良いと思うのか?しかも学校で。」 「撫子さんの前では平気だろ。」 「まぁ、そうですけど。私の脳内、朝から十八禁ですけど。エッヘン。」 「威張れることでは無いと思うが?」 「一番見られたくないものは脳内だと私は思う訳よ。パソ仔の隠しフォルダも見られたくないけれども…。」 「激しく同意だ。」 柳と撫子は部室に戻り共に食事を始める。しかし、他の人たちは粗方弁当を食べ終わったらしく談笑していた。 撫子は食事風景を見る事が出来なかったことに絶望したが、発想を転換。コミュニケーションを図っている会話を副生音つけて楽しめばいいじゃない。 脳内、スパーク。ニヤケてしまうぜ、チクショー。 なんなの四天宝寺のみなさん!フレンドリー過ぎるわよ!いいぞ、もっとやれ。 まず、スキンシップが半端じゃないわ(ツッコミを入れてるだけ)。やだ、リバまであるなんて予想外。想定外だったわ(ボケとツッコミが入れ替わっただけ)。 四天宝寺…いい!!通りでエクスタさんの書く小説にリアリティがあるわけだ。納得、納得。だったらあれだな、あの小説の主人公二人は小春さんと一氏君だね。ガチだったし。カッパが一氏君か……うん、きっと髪の毛の色で判断したんだな。カッパ…カッパさん……ってとっさに呼んでしまったらごめんなさい。 そんな楽しそうな妄想をして顔がにやけないわけないじゃない。しかし今、撫子はにやけるなんて顔をしたらもっと恐ろしい目に遇ってしまう事は決定事項。どうにかこうにか耐えなければならない。と言う訳で撫子は表情筋をこれでもかと言うほど固くした。ちょっとやそっとでは表情が動くことはないだろう。 しかしデメリットはやはり存在してしまうもので、メイクをしていない状態の撫子はとても目つきは凶悪なので、そこまで表情を硬くしてしまったら地の顔を晒していると言ってもいい。元々の目つきを知らない四天宝寺にとってはそれは睨みつけていると誤解をしてもおかしくない表情を撫子はしていたのだった。 「あ…みんな落ち着き!静かにするんや!」 四天宝寺メンバーに指示を出す白石。 どうやら本当に誤解してしまったらしい。撫子がニヤケを耐えている顔を騒がしのを嫌っているという顔だと思ったようだ。 「白石蔵之介、どうしたのかしら?」 「いや、その…すまんな騒がしくて……。」 「へ?……あぁ、いえ。騒がしいだなんてそんなことないわよ。皆楽しそうで…私見ているだけで楽しいわ。」 愛想良くニコリと笑う。 「やったらええんやけど…。」 「私のことなんて気にせずに騒いでもいいわよ?」 「フッフフ…。」 幸村の小さな小さな笑い声が聞こえ、銀髪の尻尾が小刻みに震えるのを目視した。 幸村君はともかく仁王覚えとけよ。スコート履かしたる。この小さないらつきを幸村に反抗できない分仁王にぶつけることにした。 ちなみにその他の反応として、ジャッカルとブン太が撫子の豹変具合にポカン。 柳が新たなデータを、といってメモ。 柳生は撫子が演技をノリでする事を知っていたため納得するだけ。 赤也は撫子さんスッゲェと目を輝かせている。 赤也よ、俺の嫁になるつもりはないかい? 「あー…あ、私ドリンクとか用意するから行くね?」 幸村君の嘘に騙されてる…。無駄に気をはらしてしまうなんて、本当に申し訳ない。嘘に踊らされてるって分かっているのに、注意できない私は無力だ。あ、そうだ。だったら私が出ていったらいいんじゃないか。 そう思い、撫子はススッと部室から出ていった。 |
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