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「ッ……でも諦めませんから。」 「財前さんとっても男前だね。 あ、そうだ。ゴメンね?ここで休んでいろなんて言って、みんなの練習風景見たかったよね?」 「…そんなん見んでもええですわ、毎回見とるんで。撫子さんはええんですか?」 「私も…立海は見てるけど、四天宝寺の方が気になるかな?」 かけ算的な意味で。 「そうっすか。なんか俺のせいで部室に押し込まれてしまったようで…。」 「違うよ?私は休憩もらったんだぁ。昼間で仕事はないってマ柳君が、」 「そうなんすか…。」 「ねぇ!財前さんから見た四天宝寺の人達の性格教えてくれないかな!」 「……別に構わないっすわ。」 財前と撫子の長いながーい雑談が始まった。 白石はただの変態だとか、 謙也はただのヘタレだとか、 一氏はただのホモだとか、 小春はただの危険人物だとか、 千歳はただのジブリ好きだとか、 銀は唯一の常識人だとか、 金太郎はただのアホだとか、 基本辛辣なコメントが多かった。 財前は撫子の為に情報を提供する。 撫子は聞いているうちに小刻みに震え始める。 ヤバーい!! 四天宝寺の方々スペックたっかぁ!!え?なんなの?もっと妄想してもいいのよ。って?おk把握。 ん?あれ?財前君は?財前さんから見た財前君の像は? ここ重要。今後、例のあの妄想に肉付けを行うにはとても必要なものなのだ。 「ねぇ、財前さんから見た財前君の像は?」 「へ?…あッ!」 「どんな感じ?ねぇねぇ、やっぱりイケメン?カッコいい?優しい?」 「えーっと……秘密です。」 撫子から顔を背けるように言う。気まずいと財前は感じたようで、苦々しく言った。 が、撫子には財前君は自分の物だから渡さない。渡したくない。情報なんて渡さない。というよ うにフィルター加工。 「グハァッ、なんて…なんて!財前さんは可愛いの!?私の嫁ぇ!好き好き大好き愛してるぅ!」 ガバッと財前に抱きつく。女友達に抱きつくのは当たり前だろJK。 「うわ、ちょッ止めて下さいっ!」 反射的にどついてしまう。嬉しい反面、いきなりな抱き付きによる驚きで。 「あららら?」 思いのほか手に力が入ってしまったようで撫子の体が後方へ大きく傾く。倒れる一歩手前だ。 「わぁ!?すみません!あ。」 財前がとっさに転倒しないように撫子の服を掴むが…財前の腕の力だけでは制止させることが出 来なかった。二人諸共派手な音を立て倒れてしまう。 「「イテテテテ…。」」 そして二人が痛みに対して耐えている時、部室の扉が開いた。撫子と財前に外からの光が浴びせ られた。 「何をしてるのかな?」 光の中にある影は勿論、扉を開けた人たちのもので、声からして一番最初に入ってきているのは幸村 。その後に立海メンバーと四天宝寺メンバーが続いていた。 「…あら、皆さんお揃いで…練習は?」 キョトンとして撫子が聞くと幸村のすぐ後ろに居たらしい柳が顔を覗かせて呆れる様に言った。 「撫子さん…もう昼だ。」 「え?」 |
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