青春Destroy | ナノ


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それぞれのボトルを回収して再び水道場へ向かう撫子。
中身がなくなっているボトルにドリンクを補充して日陰に置いておこう。次の休憩時間に配ることにする。
そして一仕事終えた撫子はにこやかにニヤやかに部室に走っていく。

うっ腐腐腐腐腐腐…三角関係キッター!!いや、四画関係?マネージャーが部長に惚れるのってセオリーだしぃ!!うっほほーぃ、滾りますなぁ、テラ滾りますなぁ…。そうだ!!白石君は忍足君を好きってことにしてやろ。うん、問題ない。さっきまで二人で連んでたみたいだし。忍足←白石←財前さん←財前君……………よし、忍足君は財前君の方を好きになってもらおう。うんおkおk。綺麗な四画関係の完成だぜ!!
さてこのネタを忘れないうちにメモっとこ。
財前君ヤンデレでも良いな…むしろ財前さんもヤンデレで、白石君を束縛しようと財前さんは躍起になるけど、白石君は興味を示さないでストーカーの如く忍足君を追いかけ回して、忍足君はそれに恐怖を覚えて、財前君に相談するけれど、逆に親戚と言う関係をどうやったら辞めることが出来るのかと言う財前君の相談を受けちゃって、ズキズキしながらも好きな人が幸せならばって言って、我慢しながら忍足君は相談に乗る…あれ?これ忍足君が可哀想な位報われなくね?あれ?可笑しいな…でもヤンデレの話を書こうとしたら、シリアス、死ネタにはなってしまうのが定石ではあるのだが…忍足君に救いの手をもう少し与えてもいい…ふむ…これはマスターとスカイプる必要があるな。新たなネタを投下しよう。

家に帰ったら忙しくなるぞ、と心の中でウキウキしながら進む。なんて素敵な日なんだろう。こんなにもネタが降ってくるだなんて。労働している価値があるってものですね。
足取り軽やかに、撫子は部室の扉を開けた。その瞬間、目に飛び込んできた光景は財前が撫子のiPodを聞きながら部室の中に入ってきた撫子を驚いた表情で見上げていると言うものである。なるほど分からん。一体どういう状況だと言うのだ。

一つ一つ整理しよう。
何で財前さんがiPodを聴いてるの?→分からない
そのiPodって私の?→Yes
聞いてるってことは…あれか?私の音楽のデータを聞かれたったことなのかい?→Yes
え?アニソン、キャラソン、ボカロ、を…だと?→Yes

だいたい把握できているではないか。よし、撫子、冷静。
ただ単純に他人が自分の持ち物を物色しているだけの話ではありませんかー。

大 問 題 じゃありませんか!?

ただでさえ、勝手に聞かれたと言う事実を認めたくないと言うのに。
音楽リストを見られたなら私がヲタって事がバレたと言う事で+クールビューティーでないと言うことがバレたということで=幸村君からの黒魔術を受けなければならないということで…。
わぁ、なんて最恐な方程式。俺、オワタ。

「椿崎さん!」

「はッはいぃ!」

財前は叫んだ。
撫子も叫んだ。

何事だ。

「椿崎さんは撫子さんなんっすか!?」

「え?えぇ、私の名前は撫子ですけど…。」

「そうやない!!笑顔動画で活躍しとる撫子さんやろ椿崎さんは!」

何を言い出すのかと思ったらなんだ。その程度の事か。そうです私が撫子です。ええ、撫子です。撫子なんです…はい。けれど!今は!それを知られてはならないとき!!
って言うか財前さんがその名前を知っていると言うことが私には驚きに値する。

「ナナナナナっ何言ッテルンデスカ?アハ…アハハハハハ……。」

「俺、ぜんざいPです!!いつも撫子さんの動画見てます!」

「ぜんざいPさん!?」

撫子も思わず声をあげた。ぜんざいPだと!?そんな神調教師がッ!!
そう、『ぜんざいP』とは笑顔動画で人気を博しているボカロの神調教師だ。
調教もとても滑らかでしっかり聞かないと機械音には聞こえない、という事態になる。
また、作られる曲も昔はバラード系が多かったが最近はロックでシャウト系をうpしておりどれも殿堂入りしている。
ときどき『ぜんざいPの暴走』といったタグがあり、絶対に人間では再現できないだろうという曲をうpしたりする。高すぎたり、滑舌がヤバかったり、シャウトが長かったりと。

それらを歌ってうpしているのが撫子だったりする。

「せや!」

「え、嘘!?え…ぇえ!?えっあの!お会いできて光栄です!私も曲たくさん聞きました!そして歌わせていただいてます!!本当大好きです!」

「俺もっすわ!結婚して下さい!」

「そんなッぜんざいP様から俺嫁発言!?でも私には画面の向こう側に嫁が沢山居るから無理ぽっすわ!」

まぁ、私は一腐多妻制度を推進してるから財前さんが私の嫁になるのなら良いけどな。


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