青春Destroy | ナノ


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「綺麗な土下座だね。とりあえず、許すよ。で?なんでここに居るのかな?」

「それは…カクカクシカジカカモノハシ―――というごっこ遊びをしてまして…。」

「なにそれ、俺も部室に居れば良かった。なんでそんな面白いことを僕のケータイにかけてこなかったの。」

「アドレス知らなかったし…。」

幸村様にイタ電紛いな事なんて出来ませんよ、アハハハハ。

「あ、そっか。ついでに教えておいてよ。」

「りょーかい。」

「フフッありがとう。これでもっと簡単に呼び出すことが出来る。」

交換することに関しては別に個人情報ガー、とかそんなことは思わなかったけれど、これからよりパシられることを考えると、目の前が真っ暗に。白くなったり、黒くなったりとても忙しい撫子の視界である。なんだか目頭が熱いよ。

「…………あ、そういえば私なんで立海に召喚されたの?」

「あぁ、時間がない。仁王、さっさとやっちゃって!」

「…イエッサー。」

「は!?ちょっ説明プリーズ。」

「うん、化粧をしながら教えてあげるよ。」

「化粧?」

仁王に肩を掴まれ部室の中へと拉致られ、続いてメンバーも入ってきた。

「あ、椿崎。すまんがこのカラコンを自分で入れてくれ。」

仁王からカラコンを手渡され、それを受けとった撫子。アシスタント柳生が小さい鏡を構えている。きっと柳生の私物だ。それを見て入れろ、と。

「ああ、そうですね。私のただの目つきだと凶悪犯になるだけですもんね。カラコンを入れた方がきゃわわになりますよねー。」

「なんで、そんなにやさぐれとるんじゃ。」

「なんとなく。ホイ、入れ終わったよ。」

「じゃ、次こそ俺の出番じゃな。唸れ俺の化粧技術!」

椅子に座らされ、アシスタント柳生が撫子の長い髪を括ってまとめて、それからウィッグネットに詰められた。その間に仁王が数種類の下地を自分の手の甲へ広げて、色の調節をしていた。撫子はすることが無かったため、口を開いた。

「さぁ、説明プリーズ。」

「今日、四天宝寺っていう学校と練習試合があるからマネージャーしてほしいんだ。」

「へー…まだマネージャー確保できなかったのか、ジャッカル君…。」

確か初めて立海に来た時に助言をしたはずなのだが、思う様に確保が出来ていなかった様子。

「あぁ、臨時としては入ってくれるようになったんだが今日は『テスト明けにメイトに行かなくてどうします?』って言われて断られた。」

「いいなぁ私も行きたい…まぁ、今回私はその子達の弁護をするよ。…でも私ただマネージャーするならメイクする必要無くね?」

ただマネージャーをするだけなら、メイクなんて不必要である。そのことから考えると、とても嫌な予感しかしない。むしろ嫌な事の幕開けな気がする。

「それはね、赤也のせいなんだ。」

「え?赤也君?」

視線を赤也に移すと赤也は柳の後ろに隠れてしまった。そしてお約束。邪な妄想の発動である。

柳×赤也萌え!!隠れる小動物的行動は萌えセンサーの反応を加速させるぜ。いちいち動きが可愛いんだよー!
隠し事を責められ、助けを柳に求める赤也。幸村から庇われ、ホッとする赤也。しかしその後すぐに二人きりの空間に連れて行かれ、…そうだなぁ。今は使われていない教室。そう。その教室の教卓を背に押し倒される。「柳…先輩?」とか言って、きょとん顔の赤也。そしてそこでうっすら開眼する柳。「庇ってやったんだ。対価はお前でいい。」とか言っちゃってー!後はR指定なんつってぇ!

「ほら赤也、説明しないとダメだろう。」

柳が説明をするように促しても赤也は柳の後ろで縮こまるだけ。
その行動が撫子の妄想を刺激する。

「う腐ッ腐腐。」

これ以上、この状態を放置すると、撫子の妄想が悪化すると予想できた柳。自分も色々と妄想している為、その行為を咎めることが出来ない為、それを阻止するように、赤也の代わりに柳が説明することとなった。

「…仕方ない。俺から説明する。」

「お、マスターよろしく!その対価で何を要求するつもりですかぃ?クフフッ。」

「………………事の始まりは精市と向こうの部長の今日の打ち合わせの電話から始まった。二人が打ち合わせしていると、こちらは赤也、あちらも二年生の部員が用事があると近くにきた。そうしたら精市が二年生同士電話に出さしてみないか?と提案し、あちらものってきた。それからコミュニケーションを図っていたのだが…。」

苦い顔をする。

「…だが?」

「何故かマネージャーの言い争いになってな…立海にはマネージャーなんて居ないと言うのに、赤也が嘘のマネージャーの情報を言い始めてな。あっちの学校にはマネージャーが入るらしくて、今回、互いに自慢し合ったマネージャーの対面が実現してしまうと言うことになってしまったんだ。赤也が見栄を張ったのがすべての原因だな。」

「あー…なんか想像出来る…。」

「その時赤也が喋ったマネージャー像が、仕事が早い。クールビューティー。美人。お姉様っぽい。甘えさせくれる。ふわふわのカールのかかった髪がチャームポイント。などと矛盾を含む勝手な妄想をだな…。」

「………。」

思わず撫子は絶句。何故ならこれからその赤也理想のマネージャー像に自分が変身させられると言う事が予想…いや、変身する事が今回の任務であると確定した瞬間であった。

「王者が嘘をついたなどという事があってはならぬのだぁあ!」

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