青春Destroy | ナノ


093


「本当!?」

先程まで顔を下に向けシュンとしていた撫子はさっきまでのは演技だったのではないかと思わせる勢いで明るい顔をリョーマに向けた。

「本当っす…。」

「ありがとうリョーマ!」

「フフっ良かったね撫子さん。」

「うん!じゃ撮影会続けよ?」

撮影会再開。
リョーマはスカートを履いていなかったのでなるべく上半身だけフレーム内に入れるように撮影する。
撫子はもうそれは楽しそうに表情を作る。一護のキャラとしては相応しくないかもしれないがその表情も綺麗だから良いとしよう。

そして校舎内には誰も居ないことを把握すると調子に乗って教室を出て色々な背景で写真を撮る。
廊下、階段、屋上、定番は抑えた。

「んー!普通の学校風景も良いね。田舎を思い出すよ。」

「あぁ、撫子さん前は岡山だったんだっけ?」

「そうそう、変なプロジェクトでこっちに来たんだよねー。」

「プロジェクトってどんなのなんすか?」

「えー…なんか頭のいい学生を田舎の学校と都会の学校とでトレードしてみて、いい影響がでるんじゃね?…みたいな。」

「へー…ねぇ僕達の学校は明後日から中間テストなんだけど撫子さんの学校って何時から?そのプロジェクトって成績が一番大切な観察項目だよね?」

「えーっっと……私も明後日だ!?」

撫子は頭を抱える。
何故なら一つも勉強をした覚えがないからだ。

「うわー!?やっちまったぁい!!え?やばいんじゃね?これ、私腐ってもプロジェクトの優秀な生徒って事になってるのに…いや、平気だ。うん授業もちゃんと……聞いてねぇよ!いや行ける、うん、撫子なら出来る。」

「もう帰る?」

不二が提案する。

「是非!」

「ヤダっす!」

「リョーマっ。」

「俺まだ一緒に居たいんだけど。」

「っう。」

「越前、わがまま言ったらダメ。撫子さん凄く困ってるよ。」

撫子は帰りたい、と訴えてもそれを良しとしない人物がここに。その名は越前リョーマ。好きな人とは離れたくない、と言うのは本能だが、今はタイミングが悪いと言うもの。
しかし、撫子だってこんな可愛らしいリョーマを見たら此処から離れたくないとう気持ちでいっぱいになってしまう。だって可愛いんだもん。
けど、ここで帰らなかったら確実にテストは真っ赤になってしまう。それだけは避けなければならないのだ。

「………っリョーマ!だったら最後に一枚リョーマがしたいポーズを撮って記念にしよ。これなら今日の思い出もなるよ!」

「分かったっす…。」

「リョーマ、どうしたい?」

リョーマは少々悩む。

「普通の撫子さんと写真を撮りたい。」

「ん?だったら一護メイク落とさなきゃね。」

二人はメイクを落とし始める。
撫子はウィッグを外し、リョーマはワックスを落とすために水場へ。
リョーマがワックスを落とすのに時間かかっているようなのでナチュラルメイクを施す。何時もスッピンで過ごしているからと言って写真にスッピンのまま写るのは遠慮しておきたい。

そしてリョーマはワックスを落とし終わったようで帰ってきた。
髪は適当にタオルで拭いただけ。

「うわーぃ、何て言う水も滴る美少年。ゴチ!ってうぇ!?」

リョーマは撫子の腕をつかみ歩き始める。

不二は先ほどから面白い、と言うように傍観を決め込んでいる。
リョーマに腕を引かれながら歩く撫子の後ろをゆっくりと付いて来る。

「リ、リョーマ?」

連れて行かれた先は保健室。

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