青春Destroy | ナノ


091


「撫子さん、越前が可愛いのは分かったから離れてくれない?撮影が出来ないから。」

撫子はハッと我に返り自分の顔をペチンと軽く叩き表情を作る。

「リョーマ…とっっっっても名残惜しいけど離れてくれる?今は仙人掌さんと撮影会をしてるから…。」

「ヤダ。」

ぷいと横を向く。

「ヤダ、マジ可愛い!そんな生意気な態度だって私許しちゃう。」

「僕は無理だから。ほら越前離れて時間がだいぶ経ったんだ。」

「…………………。」

リョーマは不二の言葉をシカトする。それに対しての不二のオーラがよりどす黒くなった。
撫子は自分に被害が降りかかってこないように忍足直伝の心を閉ざすを発動させた。
私は知らない、私は何も感じない、私は傍観者、とか思いながらリョーマの髪の毛をワシャワシャといじっていた。

結構リョーマの髪ってボリュームあるなぁ…。あ、そうだ。

「仙人掌さん、ちょっと耳かして?」

チョイチョイと手招きをする。

「何だい?」

不二は疑問に思いながらも近づく。撫子の口元に耳を持って行く。コショコショと内緒話。
撫子の話を聞いて少し驚いた顔をしたがすぐにいつもの表情に戻る。

「フフ、撫子さんホント面白いこと考えつくよね。」

「ウッフッフッフゥ…私はギャグ至上主義者ですから!では仙人掌さん頼まれてくれるかな?」

「うん、いいよ?じゃ行ってくるね。」

不二は教室を出て行った。そして残るは撫子とリョーマ。

リョーマはさっきまでの撫子と不二のイチャつきっぷりに腹を立てていたが、今は邪魔者が居なくなったとご満悦だ。

「やっと二人っきりっすね!」

それはもうニコニコとその辺のアイドルなんてかすんで見えてしまいそうな笑顔を撫子に向ける。

「まっ眩しい!…でも私にも使命があるのだ。リョーマ!」

「何すか?」

「私から離れたくないんだよね?」

「っす。」

「私と一緒に被写体になるかい?」

「いいんすか!?なるっす!」

「リョーマ…可愛い!ではでは少し髪型変えさせてね。」

撫子は鞄の中からヘアワッスクを取り出しリョーマの髪型を変えていった。
朽木ルキアの髪形にそっくりに撫子はセットした。

「んでー…リョーマ、メイクしてもいい?」

「いいっすけど…俺どんなになってるんっすか?」

了解を得たので撫子はメイクに取りかかる。

「んー…出来てからのお楽しみー。」

メイクが始まって数分。リョーマは時折急接近してくる撫子の顔にドキドキしていた。

「撫子さん、いい感じのあったよ?」

「ん?おぉ!!流石仙人掌さんやっるぅ!どこにあったの?」

「この学校の落とし物入れの中だよ。」

「ふーん…でもそれ、鍵かかってない?普通…。」

「この僕にそんなものに阻まれると思ってるの?」

「…ソデスネ。」

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