年では大勝、恋は完敗 「鋼の。君はいくつになった?」 ロイのいきなりの問いかけに、エドワードはこくりと首を傾げた。 「15」 「15か……」 ガックリとこれ見よがしに肩を落とされ、エドワードはムカつく気持ちを抑えもせず、射殺さんばかりの鋭い視線をロイに向けた。 「“もう”15だ」 「“まだ”15だよ」 「違う!俺はもう大人なの!」 「いや、違うね。まだ子供だ」 「なんだよ、何か文句あんのかよ!?」 大人と子供だと、今までたくさんの人間に言われてきた。 その都度強がってはいるけれど、エドワードとてふてぶてしい態度の裏側でかなり気にしていたのだ。 早く大人になりたい。 そう思った事は、1度や2度ではない。 それでも挫けずにいられるのは、ロイが、それでも好きだと言ってくれるからだ。 なのに……ロイの口から、そんなにはっきりと「子供だ」なんて言われたくなかった。 「くっそー…バカにしやがって…っ……大佐のバカ!あんぽんたん!」 バン!と大きく音を立てて閉められたドアにぼんやりと視線を投げかけて、深い深いため息をひとつ零す。 「あぁ……これでは八つ当たりだな……」 恋をしようと一方的に唆したのは、彼女が13の頃。 それ以降、大切に大切に慈しんできた金色の宝物だ。 まだまだ固い蕾なのに、大人の欲だけで無理矢理咲かす事も手折る事も出来ず、日々衝動は募るばかり。 「早く、大人におなり。……せめて16か、17……いや、18……」 でないと、私は犯罪者になってしまうよ。 いい加減私の我慢も、そろそろ限界なのだよ。 ポツリと零れた切ない呟きは、ふわりと溶けて消え―――その呟きを拾ったのは、彼の不幸な部下達だった。 2009/08/27UP back |