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秘密



〔side 金木〕

▼△▼
突然誘拐されて、歳下の子に蹴られたと思えば怖い人にお腹に穴を開けられた。
散々言われた挙句に、今僕は一人放置されている。
ボロボロの建物の何処かで、ボンヤリと外を眺めていた。
ぐちゃぐちゃになった頭の中では、嫌な事しか考えつかない。
そんな時、彼が現れた。

「万丈さん...!?」

万丈さんは辺りに注意を払いながら、シッと言った。
どうしたのかと問えば

「【決起集会】だ、【反アオギリ】のな」

そう応えが返ってきた。
突然の誘いに戸惑っていると、アヤトくんもヤモリも別の棟にいるから大丈夫だと、言った。
それでも決めあぐねている僕に対して、万丈さんは続ける。

「お前はここにいるべきじゃねぇよ...。俺たちと逃げねぇか?」

「逃げる...って...」

この状況で、どうやって逃げるというのか。
さらに今は頭が一杯で何も考えられそうにない。
信じてくれと、万丈さんは言う。
これ以上関係のない者が巻き込まれるのをガマン出来ないのだとも。
これ以上此処には居たくないだろうと言われれば、頷くほかない。
兎に角話を聞けば分かってもらえるという言葉を信じて、僕は万丈さんの後を付いていった。


▼△▼
少し進んだ辺りの小部屋に、八人ほど集まっていた。
あんていくに来ていたガスマスクの三人、それに子供までいる。

「みんな 金木研だ」

万丈さんの一声に、みながこちらを向く。
少しだけ、気まずい。
この場にいるのは、全員が万丈さんが11区にいた時のメンバーらしい。
隻眼が珍しい、初めて見たと言われる。
僕が隻眼である、ということは先程の集会により明らかになっている。

「アオギリの樹を総括しているのはカネキと同じ隻眼らしいんだ」

と、万丈さんが言った。
顔は知らないが、【隻眼の王】と呼ばれているらしい。
その後、幹部数名の説明を受けた。
幹部全員がここにいる時の脱出はもってのほかだという。
それは当然だ。
しかし、万丈さんの話によると定期的にアジトを留守にする幹部がいるらしい。
月曜日を基準として、ノロとアヤトくんは5日置きに会合に出かける。
僕を攫ったヤモリは3日置きに街へ。
残りの瓶兄弟は、常にこのアジトにいるらしい。
彼の話の途中で僕も気がついた。

「そうか。その通り外出日が重なれば12日目には」

「アジト内の幹部が2人がだけになる」

うんと頷く。
前回のかぶりから、今日は7日目ということなので、予想通りならば次は5日後になる。

「出来れば、カネキにも力を貸して欲しい」

成功率を上げるために人手が必要なのだと。
話の内容は理解できた。
しかし、このような大事な計画に僕を混ぜても良いのだろうかと口にする。
すると、みんなが答えた。
万丈さんが連れてきたのなら、信じられると。
どうやら、彼はとても信頼の置ける人物らしい。
と、そこまで話が至ったところで、その後の問題に突き当たる。
逃げだせた後の話だ。

「20区なら。 店長なら受け入れてくれるかも知れません」

僕は、少しの可能性を告げた。
万丈さんも賛同してくれたので、みんなの方向が固まる。
そうだ、全ては脱出を成功させてから考えようと自身に言い聞かせた。

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