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召集


〔side 悠那〕

▼△▼
青桐の傘下で11区にいる者は、皆この場に集まっていた。
ざっと数えて、100人位だろうか。
珍しいことに、幹部の全員が顔を揃えている。
あの正面に座っている赤いマスクの人が、タタラさん。
隻眼の王様の側近らしく、この場で一番偉いと思われる。
ニコ姐曰く、クールなドSイケメンなんだとか。
正直顔の半分以上がマスクで隠れているので、そんな判断できない気もする。
その横にいる、とても背の高いのがノロさん。
お口が描かれたフルフェイスのマスクをつけている。
何故か全然喋ってくれないけれど、実はとても優しい良い人だ。
私が暇な時には、何かと相手もしてくれる。
一言で言うと、お父さんって感じ。
で、あの包帯の子はエトちゃん。
彼女については何もわからないけど、すごく賢いという事は分かる。
いろんな事を知っていて、聞けば必ず答えが返ってくるからスゴイ。
あの向こうにいるのは、瓶兄弟。
同じ青桐コートに、少しデザインの違うマスクをしている。
二人ともすごく良いお兄さんで、たまに構ってくれる。
どっちがどっちだか覚えていないのは内緒だ。
幹部メンバーの中で最も多くの部下を従えているので、大きな戦力だ。
そして私はもちろん、八雲さんの隣に控えている。
立場上は彼の部下なのだから、当然だ。
突然、ガラリと扉の開く音がする。

「タタラさん、連れてきました」

アヤトくんが、例の隻眼くんを連れて入ってきた。
来て、とタタラさんが彼らを手招く。
隻眼くんは促されるままに、タタラさんの正面に立つ。
チラリとノロさんを見た彼は、恐怖を滲ませた。
おい、ノロさんは見た目によらず可愛いんだからな。
徐に立ち上がったタタラさん。
そのまま、右手で隻眼くんのお腹を貫いた。
彼の悲痛な叫びが、辺りに響く。
タタラさんは何かブツブツと呟いてから、隻眼くんをポイした。

「コイツいらない。君にやるよ」

ありゃあ、可哀想に。
いらないと言われてしまった隻眼くんは、ひどく困惑している。
アヤトくんにあげるとまで言われてしまったのだ。
すると、隣の八雲さんが軽く舌打ちをした。

『どしたの?』

下から彼を見上げるが、彼は笑って気にしないでと言った。
そう言われてしまえば、黙るしか無い。
でも、なんだろう、少し悔しそうに見える。
そして向こうではタタラさんが隻眼くんに話している。
内容が難しい為によく分からないが、目が駄目だとか、医者がどうとか言ってる。
それだけ言って満足したのか、タタラさんはエトちゃんを呼んだ。

「あとは任したぞ、ノロ」

そう残して、二人は何処かへ行ってしまった。
その流れのまま、この集会はお開きのようだ。
集まっていた人達も、ゾロゾロと持ち場へ戻り出す。

「行くよ悠那」

『あ、うん』

ボケっとしていたが、八雲さんに呼ばれて我に帰る。
八雲さんは、まだ倒れている隻眼くんをチラリと見ていたが、すぐに止めた。
そして、何処かへ向かおうとしている。
またいつもの場所かも知れない。
まぁ、八雲さんと一緒なら楽しいし、ニコ姐も面白いから問題無い。

『またねノロさん』

部屋を出る寸前に、バイバイと小さく手を振る。
ノロさんも手を振り返してくれた。
本当に可愛い。
つまらない集会で疲れていたが、少し元気が出た。
小走りで八雲さんに追いついてから、フラフラと彷徨う彼の左手を捕まえる。
拒まれなかったので、そのまま手を繋ぐ。
これが私の定位置、わたしの居場所。

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