×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -

ひとりぼっち


桃井さんは恐ろしいくらい積極的だ。

「テツ君ご飯行こー!」
「いえ、僕は灯と、」
「いいよテツヤ、いってらっしゃい」
「ほら、ね?早くーっ」

授業の合間の数分の休みも来たりするし、最近ではテツヤをお昼ご飯に誘いに来る。私は今までテツヤと二人で当たり前のように食べていたから知らなかったけど、どうやら桃井さんや赤司君達はバスケ部内での仲良しメンバーとやらで集まって食べていたらしい。テツヤも誘われていたけど、断っていたんだとか。私としてはテツヤとご飯を食べれないのは寂しいけれど、せっかくスタメンになれたんだし、部員同士で集まって食べているなら、テツヤにもそっちへ行って欲しい。

「灯はバカだね」

私は一人でも、平気だから。

「テツヤは僕らと食べていても、灯の事を考えていて結局上の空だよ」
「何で赤司君にテツヤの考えが分かるの」
「分かるよ、僕だからね」
「・・・・・・ふーん」

いつの間にか現れた赤司君は、なぜか少し楽しそうな顔をしている。私が一人でご飯を食べているからって面白がっているのか?ヒドイヤツだな赤司君!

「テツヤは灯と食べようとしているのに、なぜあんな風に見送るんだい?ただでさえ最近は、桃井のせいであまり話していないだろう?」
「別にいいの。テツヤは私なんかよりバスケ部を優先するべきだし、桃井さんは可愛いから言う事ナシでしょ」
「へぇ」
「それより赤司君も仲良しメンバーでしょ、早く行きなよ」

そう言ってお弁当を広げた私の隣に赤司君が座った。かと思えば、なぜか私のものより少し大きめのお弁当箱を取り出した。

「・・・え?」
「今日は僕が一緒に食べてあげるよ」
「頼んでないけど」

じっと見る私を気にする事なく、赤司君はお箸を取り出して食べ始めた。これは動く気はない、と悟った私も、同じようにお箸を出して食べ始める。

「・・・ありがとう」
「何のお礼だろうね」
「何となく言ってみただけ」

ただ、何となく。誰かと一緒のお昼は久しぶりな気がして、ご飯がおいしかった気がしたから。