同じ方向へ向かう未来設計



ライブが終わって、打ち上げに参加して帰宅。
今日は早めに帰った、って言っても深夜3時は回ってんだけどね。

アルコールがかなり入って少し暑いなーと思いながらルキ君と一緒に暮らすマンションの鍵を開ける。

打ち上げの時はライブ後すぐって事もあってテンション上がってるけど、やっぱり身体は疲れてるらしくてしんどい。


玄関の中に入ると、ルキ君のブーツがあって。

リビングから漏れる光に、まだ起きてんだ、と思いながら靴を脱いで上がる。


「ただいまー」
「…お帰り。打ち上げどーだった?」
「疲れたぁー。身体痛い」
「ま、ライブだったもんな。俺仕事で行けなかったけど」
「また別の時に来てよ。ライブはやるしさ」
「そうだな」


リビングにいたルキ君は、パソコンをイジってて。

俺が入ると、眼鏡を掛けて風呂上がりのぺったりとした髪のルキ君は。
スウェットに俺らのツアTを着た状態で振り返った。


その後ろにある、デカいソファに俯せで寝転ぶ。


ルキ君はラグの上で胡座を掻いて、俺の方を向いてソファの上に肘を付いて。
片手で俺の前髪を撫でてじっと見つめて来た。


「お疲れ様。腰大丈夫かよ」
「あー…一応マッサージはしてもらってたんだけどね。ちょっと痛いかな。筋トレしてる筈なんだけど」
「そっか」


ルキ君が目を細めて、俺の髪をゆっくり撫でる。
クッションに半分顔を埋めて、その感触に神経を集中させる。

一度寝転んだら、もう起きたくねー。
気持ちイイ。


「ま、ライブ終わりだし、俺がマッサージしてやるよ」
「え?」
「よっ、と」


そう言ったルキ君はソファに乗り上げて来て。
俺の太股辺りに座り込んで腰に手を当てて強く押される。


「何処ら辺が気持ちイイ?」
「あー…、うん、もうちょっと上…」
「此処?」
「ん、そこ、気持ちイイ」
「張ってんなー」


ルキ君が体重を掛けて、俺の腰をマッサージして。
気持ち良くて、ふっと身体の力を抜く。

こうしてルキ君は時々、俺の腰をマッサージしてくれる。

愛だね、愛。

だってすげー気持ちイイもん。


「…ま、腰が悪くなったらいつでもマッサージしてやるし。車椅子になっても毎日、散歩行こうぜ」
「ルキ君、」
「その前にバリアフリーな家建ててーなー。都内に一戸建てっていくらすんだろ。れいたは家建てた訳だけどさ」
「…うん」
「でも車椅子になっても、敏弥さんにはベース弾いてて欲しいな。今の様なパフォーマンス出来ねーだろうけど」
「そうだなー…ずっとベースは弾いていたいね」


それが原因で歩けなくなっても。

暗に、そうなるまで一緒に暮らす気満々なルキ君の言葉に何だか胸が熱くなって、ちょっと照れ臭い。


俺の上に乗ってるルキ君の顔は見えなくて。
俯いてクッションに顔を埋めて、少しだけ泣きたくなった。


ルキ君の手が、腰から背中へと移動して押して来て。


あー気持ちぃー寝そーとかそんな事思ってた、ら。


「うぁ…っ、な、に…」
「んー?」


うなじに噛み付かれる感覚。
ビクッとして後ろを向こうとしたら、背中にルキ君の身体の重み。

動けねー。


「ちょっとちょっとルキ君、」
「何だよ。何か敏弥さんの背中見てたらシたくなった。シよ?」
「は!?何処にそんな要素あったの。俺腰痛いっつー…」
「だから敏弥さんマグロでいいから。な」
「…ッ、」


そう言って、耳元で囁かれて耳にキスされる。

耳からぞわぞわっと快感が走る。

俺が耳弱いの知っててやってるルキ君がムカつく。


「もー…今すげーいい雰囲気だったのに…!」
「だからだろ。愛し合おうぜ」


ソファの上で、身体を反転させて仰向けになった時。
眼鏡を外して笑うルキ君にキスされて。

腕を上げて首に腕を回してキツく抱き締めた。


もー何この我儘な奴!


自分が言った事の照れ隠しとか、そんな可愛い理由ぐらい言えよ馬鹿。


ムカつく。

けど愛してる。



END


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