お昼寝タイム
休日の父親ってこんな感じか。
さっきまでコロンと遊んでんなーって思ったら、敏弥さんが炬燵に入って寝てた。
腰より少し上まで炬燵に入って(それ以上入ると反対側から足が出ると言うムカつく愚痴を聞かされた)クッション枕に俯せで寝てる敏弥さん。
因みに俺は肩まで入り込んでも反対側から足なんか出ません。
入り方悪いんじゃねーの、敏弥さん。
寝てる敏弥さんの周りには、コロンの玩具が散乱してる。
片付けろよな。
そんな敏弥さんに寄り添う様に、もこもこの白い服着たコロンが丸まって寝てた。
何だこの可愛い物体は。
まぁ連日敏弥さん帰って来るの遅かったし、今日もお互い夕方から仕事だし。
寝んの大好きな敏弥さんだから仕方ねーか。
俺今まで洗濯とかしてたけど。
2人で寝る馬鹿デカいベッドのシーツとか剥がして洗濯したけど。
そんな嫌味を言った『休みなんだから休ませてよ』とか、日曜のお父さんの様な事を言うんだろうな。
…その役割だったら俺が奥さんの立場か。
それはねーな。
どっちかっつーと敏弥さんの方が可愛いしね。
散らばったコロンの玩具を拾い上げて、コロンの玩具専用の棚に片付ける。
俺の気配に目を覚ましたコロンは顔だけを上げて俺の動向を見守ってて。
家事も一段落ついたし、敏弥さんが入ってる炬燵の面にコロンを挟む様にして腰を下ろす。
座ったまま、足だけ炬燵に突っ込んで。
尻尾を振ってコロンは俺の足の上に上がって来た。
そんなコロンを抱っこして撫でながら、床に寝そべって寝てる敏弥さんに視線を落とす。
クッションに顔半分埋まってるし、パーマがかけられた長い前髪で寝顔がほとんど見えない。
から、片手で髪を掻き上げる。
肌荒れしてる幼い顔。
いつまでも童顔だなーコイツ。
肌荒れ治んねーから、化粧水別のに変えた方がいいかな。
顔以外の肌は手触りいいのに。
ゆっくりと頬を撫でながら敏弥さんの顔をじっと見下ろしてると、腕の中のコロンが主張する様に背伸びをして俺の顎を舐めて来た。
はいはい、忘れてねーから。
可愛いヤツめ。
そう思いながらコロンを抱き上げて、鼻にキスしようとすると顔を反らすってどう言う事だコラ。
つーか、足が温まって来たら眠くなって来た。
時計を見ると、出掛けるまでにはまだ時間あるし。
敏弥さん寝てるし。
眼鏡を外してテーブルに置く。
コロンを抱っこしたまま、敏弥さんの隣に寝転ぶ。
まぁコロンは自分が寝やすい位置を探す為に、俺の腕の中から出て行ったけど。
俺は敏弥さんの腕を取って、自分の首元に回させる。
「んー…」
「…あ、起きた?寝てろよ。まだ時間あるから」
「…熱い」
「炬燵消す?」
「…寒い」
「どっちだよ」
「…炬燵消してルキ君抱っこするー…」
「はいはい」
敏弥さんが寝てるクッションに頭を預けてると、腕を動かされた敏弥はうっすらと目を開ける。
ふにゃふにゃして何言ってんのかわかんねー声。
それが会話として成り立つのは、長年の付き合いと言いますか。
開いてるかわかんねー目で笑いかけて来て、マジ可愛い。
身体を横向きにして、俺をぎゅーっと抱き締めてまた寝に入る。
炬燵に入って寝てたから、敏弥さんの身体は熱い。
こんなに抱き締められてたら、炬燵のスイッチ切れねーけどね。
コロンは炬燵に入らず俺の背中にピッタリくっついて寝るらしい。
敏弥さんの腕以外の熱にも笑みが溢れる。
敏弥さんの胸元に顔を埋める形だから、届かねーけど。
届く範囲、敏弥さんの首元にキスをした。
「…おやすみ」
敏弥さんの匂いが鼻腔を擽る。
多分あんま寝れねーだろうなー。
2人共寝たら仕事遅刻しそう。
この状況が、幸せだからいいけど。
END
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