バカップルの日常茶飯事
夜中。
仕事が終わってコロンの散歩も行って、2人揃って寝るまでのマッタリした時間。
コロンはさっきまでは元気に部屋の中で遊んでたけど、夜中には寝ちゃう子だから。
ゲージの中のドーム型ベッドでご就寝中。
ちょー可愛いよね。
隣同士ソファに座って、お互いがそれぞれ雑誌を読む。
ルキ君が持って帰って来た、ルキ君が載ってる雑誌を読んでると、ふとした違和感に手を止める。
「ルキ君、これなーに」
「何」
「これー。何でこの子とペアになってんの?」
「はー?…あぁ、麗と偶然被ったんだろ」
「ちょっと、俺とペアはいいけど他の奴とはダメだろ」
「仕方ねーじゃん。趣味が似てんだから」
隣にいるルキ君に雑誌を見せる様に差し出すと、ルキ君は読んでた雑誌から顔を上げてそのページを覗き込んだ。
麗、と言われたルキ君と同じネックレスしてる子は確かギターだった気がする。
雑誌を見て、俺の方を見てからまた自分の雑誌を見始めたルキ君の首元には、雑誌と同じのが付いてた。
手を伸ばして、そのネックレスに自分の指を引っ掻けてルキ君を自分に引き寄せる。
「ちょ、何だよ…っ」
「ルキ君のこれ、この子が付けたとかじゃ無いよね?」
「ちげーよ。同じの持ってただけだっつーの」
「ホント?」
引き寄せて、ルキ君の顔がキスする直前で止まる。
じっと見つめてると、ルキ君の目が眼鏡越しに呆れた視線を寄越した。
「マジマジ。つーかこれ俺が買ったんじゃねーから。敏弥さんのだからね」
「……そうだっけ」
「そうだよバーカ。ま、ペアになるとしたら敏弥さんと麗だな」
「…そっかぁ」
俺の目をじっと見つめたまま、ルキ君は鼻で笑ってネックレスを引っ掻ける俺の指を払った。
間近にあったルキ君の顔が離れる。
そのルキ君の表情は楽しそうで。
「…何」
「いや?自分の物さえ忘れて嫉妬する敏弥さん可愛いなーって思ってね」
「煩いなー。だってアクセはお互いの自由に使っててどれが誰のかわかんないの!」
「はいはい、そうだね」
「ムッカつく!ルキ君のバカ!」
「誰がだよ。これだって俺のだしね。被んのは仕方ねーよ」
ルキ君が笑って雑誌を閉じて。
俺の方に手を伸ばして、さっき俺がした様に俺が付けてたネックレスを引っ張る。
されるがまま、ルキ君の顔に顔を近付ける。
確かに俺が今してんのはルキ君のだけど。
時々ルキ君の借りてくと、京君と被ってんのは言ってやんない。
絶対ルキ君、そればっか付けるだろうよ。
「麗君と一緒かー…じゃ、ルキ君はこれ付けちゃダメ」
「何でだよ。敏弥さんホント俺の事好きだねー」
ルキ君が付けてる、俺のネックレスを指で弄ぶ。
間近の顔のルキ君が小さく笑って。
悪い?って反論しようとしたら、グッとネックレスを掴む手に力が籠って、そのまま顔を引き寄せられる。
うなじの皮膚に食い込んだシルバーが痛い。
けど、唇に柔らかい感触がして、目を閉じてルキ君とのキスを堪能する。
お互いの唇を食む様なキスは、音を立てて離れた。
「じゃー敏弥さん新しいの買えよ。そしたら俺がソレ付けるし」
「だったらルキ君も買いなよ。俺が付けんの無くなるじゃん」
「ははっ、それもそうだな。無意味な事してんなー、俺ら」
「そこがいいんだろ」
「まぁな」
お互いの所有物のアクセを、付けるって言う行為が。
それは離れててもガンガンに存在を主張してるみたいで、心地良い。
支配されてるみたいで。
それはルキ君も同じで。
嫉妬する俺を喜ぶルキ君も、相当キてる。
そう言う所が、大好き。
お互い、似た者同士でいいよね。
END
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