家の中での癒し



…疲れた。

部屋に籠って歌詞書いてて、何時間経ったかもわかんねーけど。
大体の歌詞が上がって集中力がプツッと切れたから、もー無理って事でリビングに向かう。

眠い。

今何時。

珈琲でも飲もうかな。


今日は部屋に引き込もってたから、セットも何もされてない髪。
頭を掻きながら眼鏡を外して目頭を押さえながらキッチンに行って。

電気ケトルに水を注いでスイッチを入れる。


サイフォンですんの面倒だから、ドリップの珈琲をマグカップに装着して。
すぐに湯が沸いたケトルで、ドリップの中に湯を注いで珈琲を淹れる。


「はー…」


熱い珈琲に口をつけて、さっきまで神経研ぎ澄まされてたモンが溶けてくように感じた。
シンクに凭れながら深く溜め息を吐いて天井を仰ぐ。


ふと見ると、朝には無かった鍋がIHの上にあった。
蓋を開けると時間が経って冷めた感じになったシチューが出来てて。

敏弥さん、帰ってたんだ。
全然気付かなかった。


まぁ俺が引き込もって作業してたから気を使ったんだろうな。


また蓋を戻して、マグカップを持ったままリビングへ向かう。

テレビは点いてるんだけど、敏弥さんの姿は見えなかった。


「……あ、」


テレビ消そうかとソファの前に回ったら、一応はデカいソファの上で。
やたらとデカい奴が足を立てて仰向けに寝てた。

その胸元でコロンも丸まって寝てて、その可愛さったらありえねーぐらい可愛い。


思わず声が出そうになったのを口元を押さえてやり過ごし、音を立てないように近づいて。
ソファの傍で膝を付いて眠ってる敏弥さんの顔を眺める。


コロンもコロンで、犬の癖に警戒心全くなくて俺が近寄っても起きねーとか、大丈夫かよ。
野生は何処行った、野生は。


ゆっくり珈琲を飲みながら、前髪がかかった敏弥さんの顔をじっと見つめる。


昔よりは大人っぽくなったけど、今もまだ時々幼い表情をする敏弥さん。


………可愛い。


さっきまで歌詞書いて仕事詰めてたのが心からゆっくり溶けていく感じ。

いつもならウゼェぐらいまとわり付いて来んのに、帰って来た事も告げないで飯作って食わずに待っててコロンと寝て。

可愛いったらねーな、敏弥さん。


笑みを浮かべてソファの前のテーブルの上にマグカップを置いて。
携帯を取り出して、寝てるコロンと敏弥さんを写メる。
よし、いいショットが撮れた。
敏弥さんとコロンも何だかんだ仲良いよなー。


保存して携帯をまたポケットにしまうと、伸び上がって敏弥さんの唇に軽くキスをした。


俺が動いたから、コロンが耳を動かして起きてしまって。

尻尾振って敏弥さんの胸の上でお座りするモンだから。
敏弥さんが起きんだろって苦笑いして、コロンをそっと抱き上げた。

コロンの高い体温を抱き締めながら、顎や首筋を舐めて来るのを笑いながら手をかざして止める。
まぁ、そしたら手を舐めてんだけどね。


「……ルキ君、仕事終わった?」
「あ、敏弥さん起きたの?」
「ルキ君がちゅーしてくれたから起きたぁ」
「は、気の所為だろ。コロンじゃねーの」
「もーそんな可愛くない事言ってー可愛いなー」


寝起きでいつもより滑舌が悪い敏弥さんは、ふにゃふにゃと笑ってソファの上で寝返りを打って俺の方に身体を向けた。

腕の中のコロンは、敏弥さんの方を向いて尻尾を振ってて。


「…飯は」
「まだ食べてなーい。寒くなって来たしシチュー作った」
「ん、サンキュ。コロンは」
「ご飯はまだ」
「そっか。じゃ飯にすっか。腹減った」
「俺もー」


そう言って敏弥さんは身体を起こして俺の方に手を伸ばして来て。
頬から耳元に掛けて手を滑らせるとそのまま引き寄せられて、敏弥さんの唇にキスをされた。


そのまま額突き合わせて、甘える仕草をする敏弥さん。
笑みを浮かべてると、腕の中のコロンも身体を伸ばして必死に参戦して来た。


何だコレ。

ホント可愛いな。


このデカいのとちっせーの。

マジ癒し系。



END


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