2人と1匹の休日
敏弥さんと重なったオフの日。
リビングでデカいテレビにライブ映像を流しながら敏弥さんと2人、コロンと一緒に遊ぶ。
新しく買った鈴が鳴る苺型のボールの玩具はコロンも気に入った様で。
敏弥さんが軽く投げるのを追いかけて咥えて持って来て、尻尾を振りながら敏弥さんの前に落とす。
投げてって言ってるみたいに。
そんなコロンを写メる俺。
だって可愛いじゃん。
「あはは、コロンー次はこっちだよー」
「ちょ、投げんの早ぇよ。コロンが撮れねーじゃん」
「えー?だってコロンが早く投げろって催促するからさぁ」
「投げてって期待した目可愛いよな」
「うん、可愛い。んー?これ気に入ったー?」
ちりんちりんと鈴を鳴らす様に玩具を振って、コロンに顔を近付けて笑う敏弥さん。
…を、写メった。
敏弥さんとコロンが顔付き合わせてる図とか、何これ。
後で待ち受けにしよ。
何回か鈴付きの玩具を投げてコロンが取って来てってのを繰り返すと、コロンが飽きたのか玩具を投げっ放しにして常備してる水を飲みに行った。
「あれ、コロンもう遊ばなくていいの?」
「敏弥さんに飽きたんだってよ」
「酷ーい」
水を飲んだコロンは玩具には目もくれず、俺の所へと尻尾を振りながら歩いて来た。
から、抱き上げて腕の中に収める。
トリミングしたばっかだから毛がふわふわで気持ちいい。
撫でると目を細めて、可愛い。
不満そうだった敏弥さんも、目を細めて俺の腕に抱かれたコロンを撫でる。
オフの日にこうしてマッタリ出来んの、最高。
そしたら、敏弥さんの携帯が鳴った。
敏弥さんはテーブルの上に置いてた携帯に手を伸ばして開いて、画面を見る。
メールだったみたい。
一瞬、眉を潜めた敏弥さんは、携帯を打って返信をしていた。
「どした?誰?」
「ん?京君だよ。今から来いって言われたから無理って返しただけー」
「ふーん、仲良いの?」
「そりゃーねぇ…昔はよく遊びに行ったり電話も頻繁にしてたしね」
送信終えた敏弥さんは携帯を閉じてラグの上に置いて、またコロンを構い出した。
まぁ敏弥さんと京さんが、仲良いのは知ってるけどさ。
今でもオフで会ったりしてんだ。
「俺だったら京さんの誘い断んねーのに」
「それはルキ君が後輩で京虜だからだろ。何、じゃー俺は休日に恋人を置いて他の男の所に遊びに行けっつーの?」
「別にそう言う訳じゃねーけど」
「じゃ、何よ」
「…まぁちょっと羨ましいな、と。俺京さんに無視られてる気がするし」
「だから京君は人見知りが激しいんだって」
「そっかなー…」
「もう、何ルキ君!京君京君て!そんなに気になるならもう絶対ぇ会わせねーから。楽屋来んなバカ!」
「ちょ、何すんの乱暴にすんなよ!」
「大丈夫ですー」
そう言うと敏弥さんは俺の腕の中のコロンを奪い取った。
俺の腕を解く様に取られたから、コロンには支障はねーと思うけど。
拗ねた顔の敏弥さんは、コロンを抱っこして横を向いた。
だって仕方ねーじゃん。
愛してんのは敏弥さんだけど、ヴォーカルとして尊敬してんだから京さんは。
でも、せっかくオフの日に敏弥さんと喧嘩してんのも嫌だしなー。
「じゃー頻繁に敏弥さんに連絡来んの?」
「…ま、京君は今寂しいんだよ。本命と別れたらしいしさ」
「マジで?」
「そー。でもこう言う時も呼び出されたら嫌じゃん。ルキ君が行けっつーなら行くけど?」
「は、言う訳ねーじゃん」
「だろうね」
コロンの毛並みに擦り寄りながら、敏弥さんが小さく笑う。
尊敬はしてるけど、敏弥さんとのマッタリした休日を壊されんのは嫌。
当たり前の様に俺の傍にいる敏弥さんとの日常が当たり前になっていて心地良い。
…でも俺だったら呼び出されてホイホイ行ってしまうのは黙っておこう。
敏弥さんに抱っこされてるコロンに手を伸ばすと、指を舐められる。
抱っこされてる姿を客観的に見るコロンはめちゃくちゃ可愛い。
忙しい中、こう言う休日が安心する。
買い物行くのも好きだけど。
「敏弥さん今日の晩飯なに?」
「ハンバーグ。後で一緒にスーパー行こ」
「いいね」
「和風とイタリアン、どっちがいい?」
「和風」
「りょーかい」
END
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