恋人の新しい髪型



撮影の仕事から帰って来て、テーブルの上に置いてあるパソコンにかじりついてるルキ君の元へ。

ルキ君も仕事だったから、若干セットされた髪と外着。
いつもの黒ブチ眼鏡を掛けてて。


「ルキ君ルキ君」
「なーに、敏弥さん。晩飯出来てるよ、食う?」
「いいからちょっとこっち見て」
「は?何」
「ね、俺いつもとどっか違わない?」
「え、別に…」
「じゃーん!」
「……」


ルキ君はパソコン見たまま言うもんだから、隣に座って肩を叩く。

チラッとこっちを見たルキ君は訝しげに眉を寄せたその時。
自分の髪を掻き上げて右側に全部寄せる。


ルキ君は目を見開いて固まったまま。


「ねー、どう?格好良いでしょ」
「ちょ、えぇえぇえ!?え、髪!髪ねーじゃん半分何これ!」
「あはは。剃っちゃいました」
「マジで!?え、マジで、スゲー!!」


ワンテンポ遅れてルキ君は叫んで。
俺の腕を掴んで、半分剃った左側を興味津々に凝視してた。


ふふん。
前からやりたかったんだけど、驚かそうと思って言わなかったんだよねー。


驚いたルキ君の反応に気分が良くなる。

撮影前にプロの人に剃って貰ったんだけど、俺的にも満足のいく出来。

髪も長いから、普段は隠せるしね。


「うわ、つるつるじゃん」
「今日やって貰ったばっかりだしね。これで撮影したよ」
「えー敏弥さんが剃られてんの見たかったなー」
「何でだよ」


剃られた部分、頭皮が見えて触り心地気持ちイイんだよね。

ルキ君は嬉々としてその皮膚を撫でて。

俺は胡座を掻いたまま、ルキ君の好きな様に触らせる。


「段々ハゲになっていく敏弥さん…」
「誰がハゲだっつの!スキン!半分スキンにしただけ!」
「半ハゲ」
「違ぇー!!」


ニヤニヤしながらハゲハゲ言うルキ君に飛び付いて、ラグの敷かれた床に押し倒す。

それでも眼鏡の奥の瞳は楽しそうに笑った。


「格好良いよ、敏弥さん。似合ってる」
「…当たり前じゃん」
「やーでも、服装と言い、敏弥さんのセンスには頭が下がるね」
「それ誉めてんの?」
「多分」


笑ったままのルキ君は手を伸ばして来て。
つるつるになった頭の皮膚を指でなぞった。

普段、そんな所をダイレクトに触られる事がないから変な感じ。


「じゃ、ルキ君も半分剃りなよ。お揃い」
「あー俺ん所は社長が厳しいんで」
「どの道やる気ねーだろ」
「そりゃーなぁ。ま、ドレッドやった時も戻せ言われたし」
「ゴリ押ししたんだっけ。ドレッド頭も格好良かったなー」
「寝るのに不便だったけどな」
「ヤる時も痛がってたもんね」
「そー。もうやんねー」


ルキ君が首の後ろに腕を回して来てグッと引き寄せられる。
ルキ君の身体の上に倒れ込んで、キスしようとしたらお互いの眼鏡が邪魔で。

笑って眼鏡を外した。


キスの音を響かせて、軽いキスを繰り返す。

ルキ君は俺の頭に指を這わせて撫でて。


俺の下にいるルキ君が肘を付いて身体を起こした。
そのまま、頬から耳へと柔らかい唇の感覚がして。


こめかみからゆっくり、剃られた頭の皮膚を舐められた。
舌の感触に、舐められた部分からぞわぞわってした感覚が背筋を這い上がる。

ルキ君の柔らかい唇にキスをされて離れる。


ルキ君を見下ろすと、悪戯っ子の様に笑ってて。


「それ気持ちイイかも」
「は、さすが変態」
「だぁれが」
「敏弥さんが。変態ついでに下の毛も剃ろうぜ。浮気防止」
「浮気なんかしねーっつの。ルキ君も剃るならいいよ」
「2人でパイパンかよ。無いな」
「そう?お互い子供みたいな下半身で燃えるじゃん」
「そう言う所が変態だっつの」


完全にラグに身体を預けたルキ君は、足を曲げて膝で俺の股間を押し上げて来た。

人の頭舐めたりとか、そんな事しちゃう変態さんが何言ってんの。


俺と付き合えてる時点で、ルキ君も立派な変態になってるから。

お似合いのカップルじゃん。

ね。



END


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