ひどいことB※/ルキ受




あれからどのくらい時間が経ったかわからんけど。


律儀に僕の言う事を守るまこは3回目のセックスで。
四つん這いで腰だけを高く上げさせた格好で後ろから突き上げる。

こちらに向けられた顔は快感と屈辱との泣き顔で。
その口からは喘ぎ声が漏れる。


初めから中出しさせたソコからはローションと混ざってぐちゃぐちゃと音が響く。


「…ッあ!ぁ…っ、やだぁあ…!!」
「はは、嫌嫌言いながらまたイったんかお前」
「……っは…待って、動かないで…っ」


ヤリ始めの方は男相手にするのが初めてやったまこは、イかせるんが無理やったけど、コツ掴んだらしく何度かイかせとって。
イく度に嫌がるけど、身体を痙攣させてそのまま白濁を放つ。

イった余韻に浸る間も無く、まだ後ろから突かれて、成す術無く揺さぶられるまま。


「…ッあー…イきそう…っ」
「も…ッ、中、嫌ぁ…!」
「ダメだよ。逃げないで」
「や…っ」


腰を掴まれて引き寄せられ、早くなったピストンに額を床に擦り付けながら耐える姿。
奥を突き上げたまま動きが止まって、何度か軽く動いてから中からまこ自身が引き抜かれた。

穴からは精液が流れ落ちる。


「はい、お疲れさん」
「…シャワー借りていいですか」
「えぇで。勝手に使い」
「ありがとうございます」


まこは荒い息を吐きながら、床に座り込む。

長いようであっという間に終わったこの狂った空間で、横たわった奴は微動だにせんかった。




















まこはシャワーを浴びてタオル姿のまま帰って来て、下着とズボンだけを身に付ける。

終わってから暫く放置しとったけど、いい加減僕も寝たいし床に転がっとるんも鬱陶しいし。
キッチンからペットボトルの水を取りに行くついでに、そこらに転がしとるカミソリを持って寝室に戻る。


「ん」
「あ、ありがとうございます」


まこに水を渡して、床にうつ伏せで転がる奴の腕に巻かれた拘束しとる包帯をカミソリで切る。

赤くなって震える腕。


虚ろな目が僕の姿を見上げる。

座り込んで、そいつの顔を覗き込む。


「起きろ」


ゆっくりとした動きで、手を付いて身体を起こそうとするけど、長時間拘束されとった腕ではあまり力は入らんらしい。


何度か起き上がろうとする腕を掴み、無理矢理引き上げる。

痛みに顔を歪めながら床に座り込んだ。


「取り敢えず、僕寝たいからもう帰、」


立ち上がろうとした時に、パンッと乾いた音と共に左頬に痛みが走る。


泣き腫らした目が、僕の事を非難する視線。


何をされたか認識するよりも先に腕が動いて、そいつの顔を張り倒す。


「何さらしてくれとんやお前!」
「い"…!!」
「調子乗んなやボケ!」
「…ッ、」


まだ腕にちゃんと力が入らんのか、僕が顔を殴るんに上手く庇えんらしい。
そんな事、知ったこっちゃ無いけど。


散々殴り付けて、息を吐きながら腕で庇ったままのこいつを見下ろす。

震える身体。


そう言えば、こいつが反抗して来たんって初めてか。

今回の事は腹に据えかねたらしい。

だからって僕に反抗してえぇ理由にはならんけど。


「おいガラ!」
「っ、はい」
「大佑呼べ」
「…わかりました」
「お前まだ帰さんからな」
「…いや…もうやだ…」
「知らん。ちょぉガラ、こいつ一旦シャワーで綺麗にして来い」
「あ、はい」


上から退いて、深く息を吐く。

まこは先に携帯を持って寝室から出て行った。


「…なんで…なんで、京さん…」


泣きそうなか細い声が聞こえて来て。
もうそれさえも煩わしい。

携帯を取り出して操作して画像を呼び出す。


「何で、って何が?別に僕らの関係は何も無いやろ?」
「………」
「お前が好きで来とるだけやん」
「でも…ッ」
「逃げたかったら逃げたら?これバラすけど」
「……っ、」


さっきまで犯されとったこいつの写真を見せると、顔が青ざめて固まる。
これが誰かなんて、見る人が見たらわかるやろ。


「お前、まだ音楽続けたいん?」
「…………」


瞳からボロボロと涙が溢れてくる様を見て、胸がすく。
お前に選択権なんて無い事は、わかりきっとる事やろ。


「…京さん、大ちゃんすぐ来ます」
「わかった」


まこが戻って来て、携帯をポケットに入れて立ち上がる。

呆然と泣く奴に近付いて、まこは優しく身体を起こしてやった。


「大丈夫?風呂場行こっか」
「………」


でも言うとる事は優しくは無い。
これから起こる事なんて、容易く想像出来る事やから。


大人しく立ち上がり、まこに連れられて寝室から出て行く奴の後ろ姿を見送る。

1人になった寝室でベッドに寝転ぶ。

昼間、まこが手当てした左腕。
包帯取ってもうたから、赤い線が何本か入る腕をかざす。


ライブで付けた傷と、家で付けた傷が混ざって、どれがどれかわからん。


ただそこには、変えられない現実があるだけ。


目を閉じると、泣いた奴の顔が浮かんで、消えた。



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