新しい髪型/敏京



「……敏弥」
「何?」
「あんな、えぇ加減ずっと一緒におって、四六時中ベッタリする時期って過ぎたと思うんよ僕は」
「え、京君そんな事思ってたの?とっち悲しいなー」
「ぶりっこすんな死ね。ついでに撫でるんヤメ」
「やだ。この感触ちょー最高ー。気持ちぃー」
「ウザいわこのチン毛」
「チン毛って何」
「お前の頭」
「ひでー。格好良いでしょ?」
「いや別に」
「…もー素直じゃねーな」
「やーかーら、撫でんな」
「嫌」
「……」


僕が髪型変えてから、敏弥がウザい。

ソファに座って雑誌読んどる時も、DVD観とる時も。
ずーっと僕の後ろに座って頭撫でとる。

まぁ僕を、足の間に座らしとる形な。
背中とかかなり密着しとんやけど。


撫でる手と共に、敏弥が頬擦りしたらして、チン毛パーマがちょぉ擽ったい。


何回か手払ったけど、払った僕の手を掴んでまた撫でる始末。

溜め息出るわ。

敏弥の手の動きが気になって、あんま集中出来んのやけど。


何やねん、坊主にしたぐらいではしゃぎおって。


「やー最初はびっくりしたけど、京君だったら何でも似合うね。坊主格好良い」
「当たり前やん」
「刺青もよく見えるし、うなじも見えるし、エロい」
「……」


この変態は。

何処をどう見たらそう言う考えになんねんアホか。


首を少しだけ捻って、後ろにおる敏弥を睨んだけど。
敏弥は笑っとるだけ。


「京君が坊主にしたなら、俺は全スキンにしようかな。お揃い的な」
「嫌やし。チン毛パーマがお似合いや」
「ちょっとその言い方嫌。お洒落なんだからー」
「はーん。知らんかったわ」
「もう。しょりしょりするぞー」
「やめぇや!お前の何か子供扱いする言葉遣いムカつく!」
「はいはい、ホラ、逃げないの」
「チッ」


敏弥が思い切り僕の頭を撫でて来たからムカついて立ち上がろうとしたら。
片手が僕の腹に回されて阻止される。

そのまま背中を敏弥の身体に預ける形。


「はー可愛い…何かずっと撫でてられる」
「僕は迷惑」
「…じゃ、舐め舐めしてあげよっか?」
「は?」
「人間てねー。食べる事が第二のセックスなんだよ。食べてる姿見てるだけで抜ける人がいるぐらい」
「…だから何」
「口はエロい事する為にあるよね、って」
「うわ…ッ、」


そう言うと敏弥は、僕のうなじから髪の毛の生え際と耳裏んトコまで舌でゆっくり舐めやがった。
舐められた右側の皮膚の下、ぞわぞわした感覚が這い上がる。


「京君の身体で、舐めてないトコなんか無いって思ってたけど、まだ此処があったね」
「おま、やめろやこの変態!」
「やだ」
「ちょぉ、」


敏弥の両腕に拘束されて立ち上がる事も出来ひんまま、敏弥の舌が僕の頭を這い上がる。

ホンマ、そんなトコ舐められた事も無いし。


むず痒いっちゅーか、あんまえぇモンちゃうんやけど。


変態が。

頭なんか舐めて何が楽しいねん。


「あは、舌がしょりしょりする」
「……」


口がエロい事に使う事なら、もっと僕が気持ちようなる事に使えや。


「…っ、」


手を後ろに回して、敏弥のチン毛みたいなパーマの髪を手探りで掴む。

感覚がわからんかったから、思い切り掴んでもうたみたい。

敏弥の動きが一瞬止まった。

そんなん知らんし。


「きょ、」


その隙に上を向いて、敏弥を見上げる形。
髪を掴んどった手で、敏弥の頭を押さえ付ける。


そのまま唇がぶつかった。

無理な体勢で、首がしんどい。

敏弥の唇を舌で撫でると、薄く唇が開いてそこに舌をねじ込む。
敏弥の舌が絡んで来て。


自分で体勢保つんめんどくなったから、ふっと力を抜くと。
敏弥の腕が僕の身体を支えた。


何だかんだで、敏弥がこうするんわかっとったから。


うん、やっぱ。

四六時中ベッタリするんはウザいと思うけど。

こう言うの自然に出来るんは、大切。
つーか気分がえぇ。


「…京君」
「ん、」


鬱陶しいぐらいの敏弥の髪の毛の間から見える目に、色が入った時は。
かわえぇと思うで。




20110219



でもヤッとる時、頭舐めるコイツはホンマに変態やと思う。




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