ライブ前の雑談/京流+玲
リハも着替えも終わって、ライブ開演まで楽屋で皆で寛ぐ時間。
各々好きな事してる感じで。
メイクもバッチリで、煙草吸いながられいたと雑談。
楽屋は空調が効いてるから、ジャケット代わりに自分の薄手の物羽織ってても平気な感じ。
メンバーが見渡せる感じに部屋の端っこに設置されたソファに、れいたと並んで。
背もたれに身体を預けて携帯をイジりながらダラダラ話をする。
「ってかさー京さんから最近連絡ねーよー…会いてーし声聞きてー」
「いきなり何だよお前。向こうも忙しいんじゃねーの?」
「そうなんだよ今日もライブでさー。超行きてー」
「…お前、タイトなスケジュールの中無理矢理行ってたりしただろ」
「当たり前だろ。でもあんまいい顔しねーから、楽屋挨拶無しで帰ったりするし会う時間はねーかな」
「…ルキただのファンだな」
「だろ?京さん嫌がんだよライブ行くの。俺は京さんに自分のライブ来て欲しいのに」
「そこら辺は人それぞれなんじゃね?」
「そうかなー。京さんのメンバーさんにも紹介して欲しいんだけどなー」
「やー気まずくね?俺そんな先輩に囲まれたら何話していいかわかんねーよ」
「…確かに。薫さん何回か会ったけどいい人だったし。敏弥さん楽しい人だったけど」
携帯をイジりながら、れいたと話するのはほとんど京さんとの事。
だって俺の生活はライブか京さんかだし。
腕を伸ばして、灰皿に灰を落とす。
京さんも今日ライブだよな。
ツアー被ってるから、なかなか行けねーけど。
年末年始は何とか都合つきそうだし。
強請れば年越しとか、一緒に過ごしてくれっかなー。
そんな事を思いながら、京さんにメール。
文字にしたら、会いたいとか寂しいとか簡単に言えるけど、その分軽い気がする。
けど、会いたいのも寂しいのも事実だし。
京さんは気分じゃない時はメールも電話も無視るけど、そうじゃない時は相手してくれたりするし。
今日は気分じゃねーんだろうな。
こっそり写メった京さんの画像を見ながら、そんな事を考える。
「ってか、あんまりルキと京さんてバンドの話しねーの?」
「…しねーかな」
「ふーん。何の話してんの?いつも」
「え?仕事場であった事とか、そんな話。ほとんど俺が一方的」
「あぁ、ルキすげー喋るもんな」
「んな喋ってねーだろ」
「いーや喋ってる。止まんねーしな、お前」
「何だとコラ。あ、この京さん格好良くね?」
煙草を灰皿に押し付けて消して、見てた携帯をれいたに差し出して見せる。
風呂上がりの上半身裸でソファに座ってる京さんを、背中の入れ墨が見えるように写メったヤツ。
そん時怒られたけど、速攻SDカードに保存したから残ってんだよね。
「後ろから見えるこのアングルすげー好き」
「あぁーってか入れ墨すげーな」
「めちゃくちゃ格好良いじゃん。京さんの背中すげー好き。小さいけど、でけーの」
「はいはい、よかったな。盗撮バレたら怒られんじゃねーの。俺も女に撮られたらめちゃくちゃムカついたし」
「うん。怒られた。あんましつこいとお前のハメ撮りバラすぞって言われた」
「…え、そんなんあんの?」
「……前に撮られたヤツまだ持ってるらしくてさー。携帯替えたのに」
「うわ、見たくねーけど見てー」
「いや俺が終わる。マジで」
「ははッ、そりゃそうだな。まぁ京さんもマジでバラす事はしねーだろうけど」
「そうだけどさー。俺の持ってんだったら俺も京さんの欲しいなー。あの時の動画」
「…何か変態っぽいんだけど」
何枚か京さんの画像を見て、前に撮った2ショットの画像に行き着く。
まぁ、嫌そうな顔したり目線逸らしたりしてんだけどさ、京さん。
あーもう。
見ただけでも好きって思う。
今日ライブ終わったら電話してみよ。
でも京さん打ち上げかなー。
「いやだって、京さんはどんな時でも格好良いんだって」
「あーはいはい。わかってるってルキが京さん好きな事ぐらい耳タコだっつの」
「まぁまぁ、聞けよ」
「やだよ。めんどくせぇ」
「何だとコラ」
「ま、俺はそこまでハマれる相手がいんのが羨ましい限りだけどね」
「ふふん、羨ましいだろー」
「うわ、ムカつく」
れいたが目を細めて笑って俺の身体を小突く。
俺もやり返して、そんなじゃれ合いみたいな行動。
れいたのプライベートも聞いたりすっけど。
そっちはそっちで楽しそうだとは思うしね。
あー京さん好きだな。
会いてーな。
今日頑張ったら誉めてくんねーかな。
…まぁ、頑張るの当然だから、無理だけどね。
そう言うトコも好きだからいいけど。
「でもお前は京さん京さんノロケ過ぎ」
「え?普通じゃん」
「ルキの普通引くわー」
「何でだよ」
好きなんだから、その人の事話すんの当たり前じゃん。
な。
終
20101028
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